2014 Fiscal Year Research-status Report
近隣国との関係改善のための非意識指標による直接接触研究とサーベイ調査研究の融合
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26380857
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
潮村 公弘 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (20250649)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化的ステレオタイプ / 交流意識 / 多民族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、日本人がいだく隣国に対するイメージと交流期待態度との関連性について、調査研究を実施した。研究の目的は、日本人大学生が、韓国人(および韓国文化)ならびに中国人(および中国文化)に対していただくイメージと、韓国人(韓国文化)ならびに中国人(中国文化)に対する交流期待態度との関係性を検討することである。民族イメージに対する研究は数多く行われてきたが、民族イメージそのものを探ることに力点が置かれ、その民族イメージが実際の文化交流態度をどのように規定しているのかを探る研究は限られていると言える。 133名の大学生(全員女性)の回答が分析に投入された。5項目からなる民族イメージ測定項目は、先行研究にしたがって、2つの次元(親和性イメージ次元と、信頼性イメージ次元)にまとめられた。韓国人(韓国文化)、中国人(中国文化)それぞれを対象として、当該民族・当該文化に対する交流期待態度を被説明変数、親和性イメージ次元と、信頼性イメージ次元の2つのイメージ次元を独立変数とする重回帰分析を行った。分析の結果、韓国人(韓国文化)、中国人(中国文化)とでは大きく異なる結果が示された。 韓国人(韓国文化)への交流期待態度を規定しているのは「親和性イメージ」であった一方で、中国人(中国文化)への交流期待態度を規定しているのは、「信頼性イメージ」であった。 同じ東アジア文化圏に属する韓国人(韓国文化)と中国人(中国文化)に対する交流期待態度が、本研究結果で示されたように、明瞭に異なっていることは、隣国に対する今後の文化交流政策、ならびに民族・文化イメージ政策において有用な意味を持っていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度においては、外注するサーベイ調査を予定していたが、大がかりな調査となるサーベイ調査の実施に先立って、複眼的な調査研究を実施しておくことが有用であると判断したことから、外注する調査を先送りすることとしたため、この点においてはやや遅れていると言える。しかしその一方で、予備的な意味合いをも含めた調査研究は、「パネル調査」設計としての実施形態を満たした上で進めて来ており、この点では、当初の計画以上に研究は進展していると言うことができる。 それゆえ、トータルでの現在までの達成度としては、「おおむね順調に進展している」という判断が適当と考えられる。 加えて、(2時点にわたる)パネル調査型の調査実施をベースとした上で、さらなる進展を含んだ調査研究を計画中であり、研究開始2年目には、より多面的な調査研究を実施することができる見込みとなっており、今後は、当初の研究計画において設定した探究テーマをさらに進展させた研究を進めていける見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、研究開始初年度に実施した「パネル調査」型調査研究のデータ分析を進め、「民族イメージ」と「文化交流期待態度」がどのような因果的関係性を有しているのかについて特定していく。 次に、研究開始初年度の調査研究には含まれていなかった新しい測定概念を組み込んだ調査設計立てを行う。具体的には、ナショナル・アイデンティティの強さから捉えた「国のイメージ」、「文化間有効性」、「国際理解」についての測定尺度を加えた調査設計立てとする。またこの新しい調査設計に基づく調査研究を、まず日本国内において遂行していく。そのさい調査実施法としては、できる限りパネル調査型研究を行う。 加えて、新しい測定概念を組み込んだ調査票研究を海外において実施できるように、バックトランズレーション法による韓国語版調査票を作成し、韓国において調査研究を遂行していく予定である。この韓国での調査研究においても、できる限り「パネル調査」型研究を行うことができるようにする。 さらには、これらの調査研究で得られた知見をもとにして、直接接触効果検証型の実験的研究を遂行し、どのような異文化接触のあり方が、近隣国との関係改善に有効な方法であると考えられるのかについて検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、当初は外注するサーベイ調査を研究開始初年度に予定していたが、大がかりな調査となるサーベイ調査の実施に先立って、複数の複眼的な調査研究を実施しておくことが有用であると判断したことから、初年度には外注のサーベイ調査を実施しなかったために、次年度使用額が生じた。 この点については、外注調査に先立って複数の複眼的な調査研究を十分に遂行していくということが、長いスパンで考えた場合には、より有望な方策であるとの判断に基づいているものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究開始2年目には、研究開始初年度に実施した調査研究の成果を国際学会において発表する予定であり、そのための費用が必要となる。加えて研究開始2年目には、海外における調査票調査の実施も計画をしていることから、その実査のための費用、ならびに調査委託のための渡航費(現時点においては、実際に現地に出向くことが避けられない可能性が高い見通しである)が、研究遂行費として必要となる見込みであることから、次年度使用額はこれらの費用に充当する計画を立てている。
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