2014 Fiscal Year Research-status Report
青年期の愛着不安と自己愛傾向が不適応な状態や行動を生起させるプロセスに関する研究
Project/Area Number |
26380859
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
金政 祐司 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (70388594)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 青年・成人期のアタッチメント / 愛着不安 / 自己愛 / 被受容感 / 自己開示 / 攻撃性 / 精神的健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、「青年期の愛着不安と自己愛傾向が不適応な状態や行動を生起させるプロセスに関する研究」への研究助成の初年度に当たるため、まず、研究基盤を固めるための先行研究のレビューを入念に行い、その後、それらを踏まえての調査を、大学生を対象に1度実施した。また、併せて、本助成金対象研究の準備のためにこれまでに行ってきた研究の結果について学会等で発表を行った。 本研究は、青年期の愛着不安ならびに自己愛傾向が、概念的には対置されるものであるにも関わらず、それらがなぜ共に攻撃行動や他者軽視、問題行動や規範違反といった不適応な状態や行動を生起させるのかについてのプロセスを、自己の不安定性と自己への関心の焦点化という観点から自我脅威状況を設定することで明らかにしようとするものである。そのため、まず、第一段階の調査として、①Parental Bonding Instrument(Parker et al., 1979)-幼少期の母親の養育態度を測定、②愛着不安尺度(中尾・加藤, 2004)、③評価過敏性-誇大性自己愛尺度(中山・中谷, 2006)、④被受容感尺度(杉山・坂本, 2006)-日常的に他者から受け入れられているかどうかを測定、⑤親密な他者(親、友人)への自己開示尺度(Miller, Berg, & Archer, 1983)、⑥GHQ12(中川・大坊, 1996)-精神的健康を測定、⑦敵意的攻撃インベントリー(秦, 1990)ならびに回答者の性別、年齢を尋ねる項目からなる質問紙を用いて、7月から10月にかけて289名の大学生を対象に調査を実施した。この調査に関しては、現在分析中であり、その結果については、今後、学会等で発表する予定である。また、この調査結果を踏まえ、本年度、リサーチ会社等を通し、社会人を対象としたWeb調査を実施することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、平成26年度は2度の調査を実施する予定であったが、未だ1度の調査しか実施し終えていないことから、研究計画はやや遅れていると言わざるを得ない。その主な理由は、研究に割ける時間が非常に少なくなってしまっているためである。現在、本務校において、2つの役職(副学部長ならびに学科長)と入試関連の仕事を担っており、さらに、学部のカリキュラム改革のための仕事も担当しているゆえ、本助成金対象研究を行うための時間を十分に捻出できていない状況にある。それゆえ、現時点では、残念ながら、研究計画はやや遅れていることになってしまっている。今後は、その遅れを取り戻すためにも、研究に対する時間の捻出を積極的に行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、本研究への研究助成の2年目に当たるため、本研究の準備のためにこれまでに行ってきた研究の結果や平成26年度に実施した調査について入念な分析を行い、その結果をまとめて、学会等で発表していくとともに、それらの結果を踏まえて、次の研究を実施していく必要がある。 そのため、平成27年度は、平成26年度に実施した調査結果を踏まえ、その堅固性を検討し、かつ大学生と社会人とのデータの比較を行うため、リサーチ会社等を通し、社会人を対象としたWeb調査を実施することを予定している。また、先の調査を踏まえ、他者からの拒絶および受容を示唆するシナリオを用いて受容条件と拒否条件の2条件を設定し、受容条件では、愛着不安ならびに自己愛傾向の高さが不適応状態を予測しないが、拒絶条件においては、それらの高さが不適応状態を予測するという仮説の基、調査を実施する。この調査は、大学生300名程度を予定している。さらに、自我脅威状況として存在論的恐怖に着目し、存在論的恐怖を喚起させる手続き(死について思考する、書き記す、あるいは死に関する尺度に回答してもらう)の有無と他者からの受容、拒否条件を組み合わせることで、青年期の愛着不安と自己愛傾向の高さが自我脅威状況において不適応状態を予測するのかについてより詳細な検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、当初の計画では、2度の調査を実施する予定であった。しかしながら、学内の職務に追われ、未だ1度の調査しか実施していない状況にある。そのため、人件費・謝金等に関して、予定していた分の支出を行っていないのがその大きな理由である。また、研究計画の遅れゆえ、研究資料や文献、出版物等についても購入を見合わせており、その分、支出額が当初の予定よりも少なくなってしまっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、これまでの研究計画の遅れを取り戻す上でも、前年度に行った実施した調査について入念な分析を行い、これまで本研究の準備のために行ってきた研究結果とあわせ、国内外の学会や研究会等で発表していくとともに、それらの結果を踏まえて、次の研究の実施を行う必要がある。そのため、国内外の学会や研究会等で研究発表を行っていくための旅費や参加費等が必要不可欠となる。また、本年度実施を予定している社会人に対しての調査は、リサーチ会社等を利用するため、相応の人件費・謝金等が必要となる。さらに、次調査の実施のためには、質問紙を作成する際の諸費用、質問紙の郵送費等についての支出も考慮に入れる必要がある。そのため、それらについて計画通りに進めば、平成27年度は、予定通りの支出が行えるものと考えられる。
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