2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Studies on the process that anxiety and narcissism cause maladaptive states and behaviors
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26380859
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
金政 祐司 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (70388594)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 愛着不安 / 自己愛 / 被受容感 / 被拒絶感 / 攻撃性 / 抑うつ / ストーカー的行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究助成の最終年度である平成29年度は、これまでの調査成果のアウトプットを行うのがメインの課題であった。一つ目の研究では、大学生を対象とした調査において、パーソナリティ特性の愛着不安と自己愛傾向は、一般他者からの被受容感ならびに被拒絶感を媒介して攻撃性を高めること、さらに、愛着不安は抑うつ傾向を高めるが、自己愛傾向は抑うつ傾向を抑制するように作用し、また、それらの影響は被受容感と被拒絶感によって媒介されることが示された。同様の結果は、夫婦ペア調査でもほぼ再現され、愛着不安と自己愛傾向は共に、パートナーへの攻撃性を高めること、さらに、それらの攻撃性への影響は、周囲の他者やパートナーからの被受容感によって媒介されることが示された。加えて、愛着不安と自己愛傾向の抑うつ傾向への影響も被受容感によって媒介されるという結果が得られた。上記の二つの調査結果は、査読付きの学会誌である「社会心理学研究(33巻, 1-15)」に掲載された。 二つ目の研究は、ストーカー事案に関するWeb調査ならびに全国調査についてのものであった。Web調査は、本助成金によって実施され、全国調査は、日工組社会安全研究財団の協力のもと実施された。両調査の目的は、ストーカー的行動の加害についてのリスク要因として、パーソナリティ特性(愛着不安ならびに自己愛傾向)、過去の交際時の関係性、関係破綻後の思考や感情を取り上げ、それらが関係破綻後のストーカー的行為に対して及ぼす影響について検討することであった。その結果、男女ともに関係不安ならびに過去の交際時に相手しかいないという思い込み(唯一性)が、別れた後に独善的執着(相手は自分を受け入れる義務がある)を増大させることで、ストーカー的行為を増長させることが示された。これらの調査結果は、査読付きの学会誌である「心理学研究」に投稿し、掲載可となった(89巻2号に掲載予定)。
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