2015 Fiscal Year Research-status Report

組織間の安全文化の醸成を目指した組織間リスクの探索的研究

Research Project

Project/Area Number	26380863
Research Institution	The Ohara Memorial Institute for Science of Labour
Principal Investigator	余村朋樹公益財団法人大原記念労働科学研究所, その他部局等, 主任研究員 (80390772)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	藤掛和広公益財団法人大原記念労働科学研究所, その他部局等, 研究員 (90508467)
Project Period (FY)	2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords	安全文化 / 組織間 / 重層構造 / 発注者 / 受注者 / 協力会社 / 事故 / 産業
Outline of Annual Research Achievements	分業が進み重層構造化した現在の産業界において，安全性の向上を図るためには，各組織単体での取り組みのみならず，関連する組織を広く巻き込んだ取り組みが求められる。そのため，本研究では，（１）主たる産業においてどのような組織間構造が存在するのか，（２）組織間構造にどのような安全上のリスクが存在する傾向にあるかを明らかにし，さらに（３）組織間構造に応じた組織間全体の安全文化を醸成するために重要となる要素を検討することを目的としている。平成27年度は，前年度に引き続き，上記（１）どのような組織間構造が存在するのかの探索を行うために，複数の重層的産業組織を対象に面接調査を行った。特に，発注組織が保有する設備において生産オペレーションやメンテナンスを請け負っている受注組織を対象とした。さらに，（２）組織間リスクの探索のために，発注組織と受注組織が関係した事例分析と面接調査を実施した。その結果，作業・設備・組織におけるリスク情報をコミュニケートする，リスクアセスメントや改善提案制度といった安全活動を，組織を跨いだ形で機能させることの困難さなどを確認した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 組織間に関する調査は，特に受注組織に前向きに協力してもらうことが必要不可欠である。そのため，調査同意の獲得や，日程組み等を慎重かつ丁寧に行い，結果的に，計画以上に準備に日数を要した。また，幅広い産業から協力を得るには至っていない。一方で，協力を得られた組織に対しては，複数の部署の，幅広い職位への面接調査を行うことが出来た。
Strategy for Future Research Activity	本研究は，複数の産業を対象に（１）組織間構造調査，（２）組織間リスク調査，（３）安全文化醸成ポイントの検討を順に行うことを予定していた。しかし，対象業種を拡げるには時間が必要なため，（１）～（３）を同時並行的に実施する。また，検討を行うことが出来る事故事例は限りがあるため，発注・受注組織間の状況を確認する面接調査に重点を置き，そこから組織間リスクの抽出を試みることにする。
Causes of Carryover	調査同意の獲得や，日程確保等の準備に予想以上に日数を要し，調査が予定より実施出来ておらず，旅費使用が予算より減った。また，調査の時期が遅くなったことから，整理・分析がまだ出来ていないデータがあり，分析用の人件費が予算に到達しなかった。
Expenditure Plan for Carryover Budget	今年度は早期から調査と分析を実施する予定であり，その旅費と，前年度分を含めたデータ整理に人件費・謝金を使用する計画である。