2017 Fiscal Year Research-status Report
割れ窓理論再考:秩序違反行為に影響するメソレベル環境要因の特定と実証的介入
Project/Area Number |
26380864
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
島田 貴仁 科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 室長 (20356215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 護 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60601383)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 割れ窓理論 / 規範 / 犯罪予防 / 介入 / 性犯罪 / 空間行動 / 被害リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
研究4年目である平成29年度は,東京都を対象地域として,公共空間における子ども・女性の非面識者からの被害における環境手がかりの分析,住民の秩序違反の認知と犯罪不安に関する分析を行った。 公共空間における子ども・女性の非面識者からの被害の分析では,過去の他地域の分析同様に,遡及調査対象事件の約4割で加害者の物色行動,約6割で追尾行動が確認された。また,子どもの被害は自宅敷地に加えて自宅から500m以内,女性の被害は深夜時間帯の駅から自宅への徒歩・自転車移動に起因していることが明らかになった。また,深夜時間帯ほど被害前の徒歩移動距離が長く,被害者の空間行動と加害者の犯行選択との関連が再度見出された。 東京都とその周辺13市区に居住するインターネット調査会社に登録した20歳-49歳の女性10000名に対する調査データを分析した。回答者の7桁郵便番号を用いて回答者の秩序違反の認知と犯罪不安の空間分布を視覚化した上で,近隣レベル・個人レベルの秩序違反の認知が犯罪不安に与える影響をマルチレベル分析で検討した結果,その地区の居住者全体の犯罪不安を有意に引き上げる文脈効果が見出された。このことからは,犯罪不安緩和のための場所に対する介入の有効性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社会のニーズに応じて,平成26年度に実施した子ども・女性の犯罪被害について異なる地域で再検討することができた。また,被害実態の分析に合わせて,同地域で潜在被害者に対して大規模な社会調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点までの研究を総括し,犯罪や秩序違反の促進要因に対する介入方策を検討する。
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Causes of Carryover |
場所に対する介入実験を実施予定であったところ、実地の高精細な犯罪発生データおよび空間行動データが入手でき、分析結果に基づく提言で場所に対する介入方策が実施可能になったため,予定を変更して、メソレベル環境要因と犯罪発生との関連分析を実施し,介入方策を取りまとめた。次年度は研究全体の取りまとめに予算を使用する。
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Research Products
(3 results)