2015 Fiscal Year Research-status Report
中学校のスポーツ指導に関する文化心理学的アプローチ
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26380876
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
尾見 康博 山梨大学, 総合研究部, 教授 (20264575)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スポーツ指導 / 文化 / コーチング |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,中学生のスポーツ指導に関する海外フィールド調査を実施した。ドイツでは,サッカーとグランドホッケー,米国ではサッカーを対象とした指導の方法,コーチング,指導を取り巻く社会的・文化的背景について調査した。その結果,ドイツでも米国でも,必ずしもスポーツ指導者の資格制度が確立しているわけではないこと,それでも,体罰はもとより罵声による指導がほとんどなされていないことが示された。また,ドイツでは学校のスポーツクラブはなく地域のクラブしかなかったのに対し,米国の場合,学校にアスレチック・ディレクター職が置かれ,今回調査対象の中高校では,副校長待遇で学校スポーツクラブ全体を取り仕切っていた。アスレチック・ディレクターへのインタビューの結果,コーチとしては所属教員の方が望ましいと考えており,また,学校スポーツクラブを教育の一環であると考えているなど,ヨーロッパ諸国とは異なる,日本の部活動との外形的な近似性が認められた。 また,日本の部活動の実態にアプローチするため,学生と共同で附属中学校のバスケットボール部の参与観察調査も開始し,附属中学校という特殊性を考慮に入れながら,現在も調査を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツ調査は28年度実施予定であったが,27年度に所属学部の業務でドイツ出張が入ったため,業務時間外の週末等を利用して一年前倒しで調査を実施した。他方,中国調査は,中国人のインフォーマント予定者が諸般の事情で研究を継続できなくなったため,実施できなかった。 成果の公表としては,27年度のフィールド調査結果の一部も含めた論考を本の一章として英文で発表した。また,27年度フランス調査の結果を日本心理学会で発表した。また同学会では本研究の理論的背景に関する議論をシンポジウムの指定討論として行った。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は本課題の最終年度に当たるので,データの収集よりもこれまで各国で収集したデータを総合的に分析することに力を注ぐ。ただし,28年度に実施できなかった中国調査を現実化するよう努力するとともに,心理学内外の先行研究との関連づけをより明確にするため,医学やスポーツ科学の専門家から部活動関連に関する情報提供を依頼し助言を求める予定である。その上で,国内外の学会や研究会で発表し,論文(日本語と英語で)を執筆投稿する。以上の作業を通じて次の課題を明確にし,継続的な研究課題として科研費の申請を行う予定である。
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