2014 Fiscal Year Research-status Report
模倣の処理プロセスとそれを踏まえた外部補助手掛かり
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26380877
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
水口 崇 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (60412946)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動作模倣 / 知覚と運動 / 外部手がかり |
Outline of Annual Research Achievements |
動作模倣に伴う知覚と運動の変換過程に関する実験を行った。本年度は、変換過程に関する近年の有力な理論の検証を行った。英国のHeyesを中心とした研究チームは、動作模倣はモデルを知覚した際、視覚注意を捕捉しやすい特徴が、後の模倣反応に決定的な影響を及ぼすことを主張している。具体的には、知覚するモデルに彩色による強調を伴うと、その点が正確に再現されることを報告している。この理論はPsychological Review, Cognition, Philosophical Transactions of the Royal Society of London Bなど、影響力の強い雑誌の中で何度も紹介されてきた。 申請者は、同種の動作模倣の遂行に、言語性の成分や視空間的な成分の処理が介在している可能性を検証していた。つまり、入力時のみでは模倣反応は決定せず、その後の処理が一定の作用を有している可能性である。 本年度は、3つの実験結果から、Heyesらの実験が効果を発現した機序を解明した。具体的には、入力時と出力時の両方に彩色を施した実験、入力時のみ彩色を施した実験、入力時に言語的な教示を行う特定の要素に注意を誘導する実験である。結果から、入力時と出力時の両方に彩色を施した時のみ、Heyesらと同様の結果が再現された。それ以外は、全く再現されたなかった。以上から、出力時の要素が手掛かりとして作用しており、入力時の注意のみでは模倣反応が変化しないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Heyesらの理論における主要な疑問点を検証した。追試に耐えられる強健なデータを得るため、年度内に3つの実験を慎重に進めてきた。単一唯一の知見であるが、Heyesらの実験が効果を発現した仕組みを解明し、新たな知見を呈することが可能となった。現在IFの高い専門誌に投稿することを目標に原稿を執筆している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は大学生を対象とした道具操作の模倣の実験を行う。道具が身体化して、円滑に使用可能となるプロセスを解明する予定である。それらを下地にして、幼児を対象とした実験に着手していく予定である。
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Causes of Carryover |
予定よりも実験の規模を大きくしたため、若干当初の予定より時間が必要であった。初年度に、道具操作に関する機材の調整まで行えなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、H27年度請求額と合わせて、主に機材の微調整や改訂に使用する。
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Research Products
(1 results)