2014 Fiscal Year Research-status Report
自閉症児同士における「教えあい」を軸とした教育方法の開発と評価
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26380884
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 教示行為 / 授業研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,以下の3点について研究を行った。 1つは,自閉症スペクトラム障害児が,共同学習の中で「教えあい」をしている授業に注目し,その分析結果を国際学会(World Association of Lesson Studies, 10th Annual International Conference)にて発表した。そこでは,発達差や障害の違いのある子どもたちにおいても,共同学習,特に,お互いに教えあう行為が頻出すること,しかし,それは自然に発生するものではなく,意図的な指導が求められることを報告した。具体的な指導としては,教える子どもは「正解」を知らなくてもかまわないような構造を準備すること,子どもが他者の意見を評価しやすいような教具を開発すること,などが見られた。 2つは,自閉症スペクトラム障害児を中心とした障害のある子どもの共同学習や授業研究についての文献収集および授業観察を行った。その結果,我が国では,個別指導に中心があてられがちであったが,徐々に,障害があっても,子ども同士のなかで学びあう授業の志向性が高まりつつあることがわかってきた。しかし,その一方で,障害のある子どもどうしが教えあうような授業については,ほとんど注目されていないことが明らかになった。 3つは,以上の成果をもとに,教員や保護者に対して,障害のある子どもどうし,もしくは,障害のある子どもと障害のない子どもが学びあう,教えあう実践の紹介を行った。具体的には,「みんのねがい」という月刊誌のなかで,報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会発表および文献取集,重要な授業観察を行うことができ,2年目・3年目の研究を進めるうえでの土台ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の課題として,以下の2点を考えている。1つは,すでに報告したWALSでの学会発表をもとに,論文を執筆し,投稿することである。2つは,自閉症スペクトラム障害児どうしの「教えあい」についてのさらなるレビューを行い,論文としてまとめることである。
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Causes of Carryover |
今年度は,当初予定していたよりも,出張回数が少なかったため,次年度以降に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,(1)資料収集のための旅費,(2)分析機材の購入,(3)文献収集に用いる予定である。
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