2016 Fiscal Year Research-status Report
自閉症児同士における「教えあい」を軸とした教育方法の開発と評価
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26380884
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤木 和重 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70402675)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 教えあい / 異年齢教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,2015年度,1年間,アメリカ,ニューヨーク州,シラキュースで行ったフィールドワークをもとに成果発表を行った。特に,シラキュース地区に位置するNew Schoolという異年齢教育を行っているK-8スクールに注目し,インクルーシブ教育の新しい可能性について検討した。特に,個々の子どもが,自分にあった個別学習を軸にしながらも,同時に,その違いのまま,他者と共同して学習をするような「個別-協同」の学習スタイルが中心になっていることに注目した。加えて,すべてが同じサイズの集団のまま異年齢教育を行っているわけではなく,活動に応じて,個別学習・ペア学習・小集団学習・全員学習と流動的であり,これは流動的異年齢教育を行っていると考えられた。「個別-協同」学習を基軸にしつつ,流動的異年齢教育を行うことが,障害のある子どもも,障害のない子とともに教えあい,かつ,学びあうことが可能であることを,いくつかのエピソードから明らかにすることができた。同時に,日本で一般的に想定されているインクルーシブ教育とは,かなりその内実が異なることも明らかにした。 これらの知見を,日本教育学会,発達障害学会,発達心理学会,特別ニーズ教育学会,特殊教育学会において,報告を行った。同時に,これまでの学会発表や論文をまとめて,単著「アメリカの教室に入ってみた:貧困地区の公立学校から超インクルーシブ教育まで」(ひとなる書房)としてまとめることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科研申請当初は,想定していなかったアメリカでの1年間での滞在があったため,有益な知見は得ることができたものの,成果報告をまとめることに時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,障害児を含めた教えあいを支える教育メカニズムについて,シラキュース・New Schoolで行ったインタビューを中心にまとめる予定にしている。
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Causes of Carryover |
科研申請当初は,予定していなかったアメリカでの1年間の滞在があったため,成果をまとめるために時間がかかった。そのため,次年度に繰越を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アメリカで行ったインタビューの資料整理費,および学会発表のための旅費を予定している。
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