2015 Fiscal Year Research-status Report
教職志望学生および若年教員の社会的能力向上のための学習プログラム開発
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26380889
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
小泉 令三 福岡教育大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (90195644)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会性と情動の学習 / 社会的能力 / 教職課程 / 若年教員 / コミュニケーション / 教師資質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては,目的のために次の(a)~(c)の3点を計画したが,(a)はH26年度にほぼ達成できたので,H27年度は(b)と(c)の2点を実施した。 (a)教員の社会的能力尺度(改訂版)作成:(H26年度に達成した。) (b)教職志望学生用のSEL-8Tプログラム開発:このプログラムを授業で実施する目的は,①学生が教職に就いたときに必要な社会的能力を身につけることと,②児童生徒の社会的能力を高める指導方法を学ぶことの2点である。次の2つ(b-1, b-2)を実施した。 [b-1] H26年度は,SEL-8Tの構造にしたがって15回の授業相当分の授業内容を作成し,その一部を使って教育学部の学部生を対象に週1回ずつ5回のセッションを試行した。H27年度は改良を加え,やはり週1回ずつであるがセッション数を7回に増やして実施し,統制群と比較した。その結果,自己の社会的能力評定と指導に関する自己効力感のどちらについても,プログラムの有効性を確認することができた。 [b-2] 集中ワークショップ型として,3日間で10セッションを集中して実施したところ,統制群は設定できなかったが,自己の社会的能力評定と指導に関する自己効力感のどちらも上昇していた。 (c)若年教員用のSEL-8Tプログラム開発:H26年度は,(b)のプログラムの中から,特に教員に必要と考えられる5回分を選定し,研修内容の概要を作成した。H27年度は,教職経験5年以下の教諭または講師4名にこれらを分散方式で試行したところ,自己の社会的能力評定の多くの下位尺度得点が向上していた。 国内外の関係学会で,連携研究者とともに前年度の研究成果の一部を発表するとともに,関係資料の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H27年度の実施内容の2点の内,(b)の教職志望学生用のSEL-8Tプログラム開発については,計画通りに教育学部の学部生を対象に,週1回ずつのセッションを7回に増やして試行し,その効果を検証でした。さらに,計画していなかったが,集中ワークショップ型も実施することができ,この形態でも,事例としてプログラムの有効性を示すデータを得ることができた。(c)の若年教員用のSEL-8Tプログラム開発については,H26年度実施状況方向書の「今後の推進方策」に示した通り,協力校において若年教員を対象に試行を行うことができた。 以上の実施状況により,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(a)はすでに目標を達成しているので,H28年度については,(b)と(c)について次のように実施し,最後に総括を行う。研究の遂行は,連携研究者(福岡教育大学教授 大坪靖直,梅光学院大学講師 山田洋平,佐賀県公立小学校教諭 山下 健,福岡県公立小学校教諭 泉 徳明,等)と連携して行う。 (b)教職志望学生用のSEL-8Tプログラム開発:H27年度に実施したワークショップを,さらにセッション数を増やして,年度後期(10月~2月)に実施する。その際,今後のプログラムの継続利用に向けて,受講生による自己評価を取り入れ,授業効果の自己認識や動機づけ向上を図る。 (c)若年教師用プログラム:教育委員会との連携のもと,公立小中学校の若年教員(教職経験5年程度以下の教諭または講師)の希望者を対象にワークショップを実施する。集中方式を含めて5回程度のセッションを設定するとともに,日常の教育活動への適用を図り,プログラムの効果を検証する。なお,上記(b)と合わせて,プログラムが広く利用されるように,書籍化の準備を進める。 前年度の研究成果を国内外の学会で発表するとともに,総括のための関係資料を収集する。
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Research Products
(3 results)