2015 Fiscal Year Research-status Report
子どもの叱り方尺度の作成とタッチを用いた怒鳴らない叩かない子育てプログラムの開発
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26380907
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
新井 典子 神奈川大学, 人間科学部, 助教 (70570216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩立 志津夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (80137885)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子どもの叱り方 / タッチ / 子育て支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究1:叱り方尺度の信頼性と妥当性の検討>①研究目的:叱り方尺度の因子構造を検討する。②研究方法:認定保育園に在籍する母親350名に質問紙調査を行い85名回収した。③研究結果と意義:因子分析を行い、4つの下位因子(肯定的しつけ、感情的しつけ、愛情的身体接触、暴力的身体接触)が見出された。共分散構造分析により、因子構造の妥当性が確認された。 <研究2:親の養育態度と幼児の自立性の検討>①研究目的:親の養育態度と幼児の自立性との関連を検討する。②研究方法:認定保育園に在籍する400名に質問紙調査を行い150名回収した。③研究結果と意義:分析途中であるが、親の養育態度と子ども行動との関連があると考える。 <研究3:怒鳴らない子育てプログラムの効果>①研究目的:怒鳴らない子育てプログラムの効果を検討する。②研究方法:叱り方に悩む母親7名に、7回の怒鳴らない子育てプログラムを実施し、実施前後で質問紙調査を行った。③研究結果と意義:有意差はないが、実施前後で感情的しつけが減り、肯定的しつけが増え、このプログラムの教育的効果が認められた。 <研究4:叱り方のタッチプログラム(FTP)の効果>①研究目的:叱り方のタッチプログラム(FTP)の効果を検討する。②研究方法:叱り方に悩む幼児をもつ母親6名に8回プログラムを実施し、実施前後で質問紙調査を実施した。③研究結果と意義:有意差はないが、実施前後で愛情的身体接触が増え、このプログラムの教育的効果が認められた。 <研究5:支援者向け叱り方講座の効果>①研究目的:支援者向け叱り方講座の効果を検討する。②研究方法:子育て支援の支援者45名に2時間の叱り方講座を実施し、た。③研究結果と意義:実施前後で質問紙調査を行い、「かんしゃくの対応がわかる」や「泣きの対応がわかる」、「身体の距離の重要性がわかる」で有意差が認められ、この講座の教育的効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画:叱り方尺度の信頼性と妥当性の検討と叱り方プログラムの検討 研究1で、子どもの叱り方尺度が4因子構造であることが見いだされた。これより、叱り方プログラムの効果測定で、4因子を指標とすることが可能となった。研究3と4で、2つの叱り方プログラム(怒鳴らない子育て講座・タッチプログラム)の効果を検討したが、愛情的身体接触や肯定的しつけで有意差は認められなかった。これは、サンプル数が少ないことも一因であるが、研究5の叱り方のワークの一部を構成した講座では、癇癪や泣きの対応など3項目で有意差が認められている。今後はより効果的なワークと効果的でないワークを弁別し、プログラム構成を洗練させていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究上の課題は2点ある。第1に、調査協力が可能な保育園を探すことである。昨年度同様に、保育園の民営化が増え、園単位で協力依頼を行う必要が生じているとともに、園の先生方が非常に多忙であり、調査協力が得られる保育園は少なかった。今後は、叱り方尺度と子どもの問題行動の関連も含めて、先生方に調査協力をお願いする予定である。よって、保育士の先生方にご負担をおかけしないよう、実施時期や質問紙の内容等、事前に十分な説明を行い、同意を得たのち実施する必要がある。 第2に、叱り方プログラムのワークの内容について、詳細にその効果を検討することである。子どもの叱り方の困難感は対象者のニーズにより多様性が認められ、ワークの性質により、その効果に差が認められる可能性がある。よって、今後は、対象者のニーズにより、プログラムを選別し、より効果的なプログラム構成を行っていく必要がある。
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Causes of Carryover |
学会出張等の旅費に関しては、学内の経常予算を使用したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額として、人件費が予算を上回る支出となっているので、人件費に充当する予定である。
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