2015 Fiscal Year Research-status Report
日本国内のイマージョン教育の成果と問題点に関する教育心理学研究
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26380910
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
井上 智義 同志社大学, 社会学部, 教授 (40151617)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イマージョン教育 / 第二言語習得 / 教育方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
調査フィールドである、ぐんま国際アカデミーで、2014年度に行った調査結果をまとめて、ECDP(ヨーロッパ発達心理学会)で、その成果を発表した。具体的な内容としては、早期のイマージョン教育経験者で、短期後発のイマージョン教育経験者よりも、英語能力の向上が認められたことなどである。また、両群の成績は、一般的な大学生の英語能力と比較しても、すぐれている点が多く認められた。 さらに、2015年度には、上述の高等部に在籍する12名の生徒を対象に、インタビューを実施し、これまで各自が受けてきた11年間のイマージョン教育について、さまざまな内容に関して、主観的な感想や教育方法に関する評価などについての聞き取りをおこなった。 現在、それらの内容については、分析途中であるが、その内容からは、とりわけ教育方法上の工夫や改善点などを明らかにできる可能性が高いと思われる。具体的にインタビューから明らかにされそうな内容について、以下のまとめてみる。 ①11年生(高校2年生に該当)に在籍中の調査対象者全員から、当該の学校で学ぶのことの意義や肯定的な満足度が聞き取れた。途中で、他の学校を受験しようと考えた生徒もいたが、現在は、この学校に居ることができて良かったという評価をしている。 ②同じ教科を2言語で教育される場合についてのメリットが具体的に明らかにされる可能性がある。調査対象者の一人は、「片方の授業でわからなかったことが他方の授業で理解できた」というような発言をしている。また、「他の言語での用語を確認できてよかった」とする者もいた。これらの証言は、イマージョン教育が単なる第二言語の教育方法ではなく、二言語教育の優れた方法論であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査フィールドのぐんま国際アカデミーの学校ぐるみでの協力が得られ、おおむね順調に調査を実施できている。また、聞き取り調査についても、協力的な生徒たちのおかげで、予想外の結果も明らかにできる可能性などがある。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビューの結果の分析を進める一方で、これまでの調査結果を国際会議(ISSBD2016)で発表する予定。 また、9月ころを目途に今年度のフィールド調査も実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究遂行上必要な消耗品等の一部は、大学の個人研究費などを使用したため、1,428円の残高となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の補助金と合わせて、有効活用を考えている。
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