2015 Fiscal Year Research-status Report
思春期の子どもの学校適応を向上させる心理教育プログラムの開発
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26380915
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
藤枝 静暁 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (60521515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 充 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (10159254)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ソーシャルスキル教育 / 予防教育 / 学校適応 / 児童・生徒 / 感情スキル / 縦断研究 / 実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究成果は4件であった。学術学会におけるポスター発表が3件,紀要論文が1件であった。 ポスター発表の1件目は「藤枝静暁・相川充 2015 小学校におけるソーシャルスキル教育を中心とした心理教育の縦断実践研究(3)-1,2学期までの実践内容とその効果について- 日本学校心理士会2015年度大会プログラム・発表論文集, p52-53.」であった。この発表では実践内容を詳細に報告した。また,実践校の教師に実践の成果についてインタビューした内容を報告した。2件目は「藤枝静暁・増南太志・相川充 2015 小学校におけるソーシャルスキル教育を中心とした心理教育の縦断実践研究(1)-児童用感情スキル尺度の開発- 日本教育心理学会第57回総会発表論文集, p357.」であった。この発表では,小学校3~6年生を対象とした感情スキルを測定するための尺度を新たに開発したことを報告した。3件目は「増南太志・藤枝静暁・相川充 2015 小学校におけるソーシャルスキル教育を中心とした心理教育の縦断実践研究(2)-時間差を考慮した三水準モデルの検証- 日本教育心理学会第57回総会発表論文集, p358.」であった。この発表では,本研究で得たデータを用いて,学校適応アセスメントのための三水準モデル(大対ら, 2007)を検証し,その結果を報告した。 紀要論文は「増南太志・藤枝静暁・相川充 2015 小学校におけるソーシャルスキル教育を中心とした心理教育の縦断実践研究 -三水準モデルにおける行動的機能の変化の影響- 埼玉学園大学紀要 人間学部編 第15号 139-150.」であった。本研究では,小学校1~6年生を対象に,平成26年5月と平成27年3月に質問紙調査を行い,2時点での行動的機能上昇群と低下群の比較検討を行った。上昇群においては三水準モデルと概ね一致していたことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度から平成27年度までの2年間,公立小学校1校において,ソーシャルスキル教育を中心とした心理教育を実践した。年度また学期毎に学習目標とするソーシャルスキルを定め,全クラスにおいて足並みをそろえてソーシャルスキル教育を実施した。 夏休み,冬休みには,各家庭でソーシャルスキル教育を行った。学校で学習したソーシャルスキルを家庭にも伝え,保護者がモデルとなり,子どもがソーシャルスキルを実行できたときにはその行動を強化するように依頼した。 こうした実践の効果を検討するために,2年間の間に5回質問紙評定を行った。質問紙評定は児童による自己評定,教師による児童評定,保護者による児童評定であった。児童評定ではソーシャルスキル,ソーシャルサポート,自尊感情,学校適応感などを尋ねた。教師による児童評定では,担任教師が学級内で気になる子ども3名以内について尋ねた。内容は,その子どものソーシャルスキルの実行の様子,学級内の対人関係,学習態度などであった。保護者による子どもの評定では,保護者が家庭での子どものソーシャルスキルの実行の程度について評定した。 実践校がある通学校区内の中学校においても,中1~中3の生徒を対象に質問紙調査を行った。この調査法は2つの利点がある一つは,小学校1年生から中学校3年生までの9年間の横断データが得られることである。もう一つは,実践小学校から質問紙調査を行った中学校へ進学した生徒に限られるが,縦断データを得られることである。我が国では,このように小学校と中学校の連続した縦断データを収集した研究は少ないので,貴重である。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は,H26~H27年度まで実施したソーシャルスキル教育の効果の検討をおこなう。昨年度までに収集したデータを用いて,三水準モデルに沿って,ソーシャルスキル教育の効果を分析する。具体的には,ソーシャルスキル教育によって,児童がソーシャルスキルを獲得したか,それが自尊感情,ソーシャルサポート,学習態度,学校適応感に正の影響を及ぼしたかを検討する。学年毎に比較することで,発達段階の差の有無を検討する。 SSEに参加した子どもの中でも,ソーシャルスキル教育を開始前の時点でソーシャルスキルが相対的に低かった子どもに注目し,分析を行う。学級集団の中でも,学校不適応に陥るリスクが高いのはソーシャルスキルを身につけていない子どもたちだからである。それゆえに,彼らに注目して分析することは,学校不適応の予防において価値があると考えられる。 教師による子どものソーシャルスキルの評定,保護者による子どものソーシャルスキルの評定結果についても分析,検討する。
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Causes of Carryover |
学会とうへ行く旅費が当初の見込みよりも少額であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は学会での発表を4回行う予定である。この際に必要となる旅費に使用し,使い切る予定である。
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Research Products
(7 results)