2016 Fiscal Year Research-status Report
対人的楽観性に焦点を当てた抑うつの予防的アプローチ法の開発
Project/Area Number |
26380918
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
沢宮 容子 筑波大学, 人間系, 教授 (60310215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩壁 茂 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10326522)
濱口 佳和 筑波大学, 人間系, 教授 (20272289)
福島 哲夫 大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (60316916)
青木 みのり 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (80349175)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 楽観性 / 予防的アプローチ / ポジティブ心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「対人的楽観性に焦点を当てた抑うつの予防的アプローチ法」を開発し、その効果を検討することである。うつ病の病態の多様化、低年齢化などが問題になるなか、再発予防を含むうつ病の予防が喫緊の課題であることは論を俟たない。抑うつは、その罹患による社会経済的なコストも高く(Jane-Llopis et al., 2003)、将来的なコストを減らすという点でも、抑うつ予防の重要性は高い(e.g., Gillham et al., 2000)。本研究で取り上げる楽観性(楽観的)という概念については、Abramson, Seligman, & Teasdale(1978)が、無力感の対応策として楽観的な期待の必要性を論じたことに端を発し、そのネガティブな側面も含め数々の実証的な研究がなされてきた(e.g., Boyer、2006;Seligman、1991;戸ヶ崎・坂野、1993)。Seligman & Csikszentmihalyi(2000)が提唱したことで知られる「ポジティブ心理学」の重要な概念であり、心身の健康回復やストレス緩和にプラスの影響を及ぼすとされる(e.g., 藤南・園田, 1994;Umstattd, McAuley, Motl, & Rosengren, 2007)。抑うつ研究における、予防的アプローチの重要性はよく知られており、関連する研究も多数あるが、本研究は、ポジティブ心理学のモデルに基づき、楽観性という人間のよりポジティブな側面に焦点を当てた「肯定的介入」を行った。当該年度においては、「対人的楽観性の変容が抑うつの低減に及ぼす効果」について短期的視点から明らかにした上で、長期的視点から継続的に研究を行った。さらに、肯定的介入に焦点を当てた「面接プロセス」について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対人的楽観性の変容が抑うつの低減に及ぼす効果」について、抑うつの低減に及ぼす効果」について、長期的視点から継続的に研究を行った。さらに、肯定的介入に焦点を当てた「面接プロセス」について検討を行った。おおむね予定通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
長期フォローアップを測定するなど、効果を明らかにする研究をさらに継続して行っていく。なお、その際に量的データとともに質的データも用いる。また、「面接プロセス」の検討にあたっては、質的分析やプロセス研究法を用いた面接場面の分析を行うため、逐語データ等をさらに詳細に検討していく。
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Causes of Carryover |
スケジュールの都合により、参加予定だった学会に参加できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会大会で成果発表を行う際の旅費として用いる計画である。
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