2016 Fiscal Year Annual Research Report
A psychometric study of mechanism of executive dysfunction in persons with cognitive disabilities as a core symptom
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26380919
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
松田 修 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (60282787)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遂行機能 / 実行機能 / 認知症 / 発達障害 / 認知機能障害 / ワーキングメモリ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、遂行機能障害の発現機序や実態を明らかにするために、量的データを用いた以下の2つの検討を行った。 第一の検討では、認知機能低下を主訴に認知症外来を受診した患者を対象に、MMSE-JやCOGNISTATなどの検査と同時に、遂行機能の重要な要素の一つであるワーキングメモリを測定するために、日本版WAIS-IIIの数唱を行った。MMSE-Jで23点以下の患者を認知症群(n=14)、24点以上を非認知症群(n=19)として、二群の数唱の成績(順唱粗点、逆唱粗点、数唱評価点、順唱最長スパン、逆唱最長スパン)を比較した。その結果、認知症群は非認知症群よりも逆唱粗点と逆唱最長スパンの成績が有意に低く、この結果から、認知機能低下と遂行機能の重要な構成要素の一つであるワーキングメモリとの関連が示唆された。 第二の検討では、学習面や行動面の困難から発達障害の可能性が疑われる子供を対象に、実生活における遂行機能障害の有無と認知機能との関連を分析した。保護者などが記載したチェックリストの回答をもとに、実生活で遂行機能に困難のある子供(遂行機能障害あり群、n=32)と、そうした行動のない子供(遂行機能障害なし群、n=31)のWISC-IVの成績を比較した。その結果、遂行機能障害あり群は、なし群よりも、PCnの成績が低かった。ワーキングメモリの成績に有意差はなかったが、この理由として、両群ともにワーキンゲメモリ課題の成績が低かったことがあげられる。今回の結果から、発達障害の可能性があり、かつ、遂行機能にも困難が起こっている子供では、流動性推理が低いと遂行機能障害が起こりやすくなる可能性が示唆された。この点から遂行機能障害の発現機序に流動性推理が寄与している可能性が示唆された。
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