2016 Fiscal Year Annual Research Report
Process of constructing identity from the narratives of young people in hikikomori(social withdrawal)
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26380920
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
谷田 征子 お茶の水女子大学, 人間発達教育研究センター, 特任講師 (60635150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10254129)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ひきこもり / 語り / アイデンティティ / 自己 / マスタナラティブ / 青年期 / メール相談 / 電話相談 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、ひきこもり本人からの相談をもとに、本人がひきこもっている体験をどのように語り意味づけているのかを検討した。自己と社会との関連を考慮し、ひきこもり本人の語りの変化を考えていく上で、マスタナラティブの枠組みを援用した。ひきこもり本人の相談で5回以上、かつ相談内容から精神疾患が顕著でない事例を抽出した。その結果、「ひきこもりの自分についての語り」「自分についての捉え直し」「自分と関わることについての語り」の3つがあると考えられた。「ひきこもりの自分についての語り」では、ひきこもりの状況や自分が何に悩んで困っているのかという気持ちの吐露が語られていた。その中核には〈孤独感〉があると考えられた。「自分についての捉え直し」のサブカテゴリーとして、〈過去の習慣へのしがみつき〉〈親の侵襲〉(親への思い)があげられた。「自分と関わることについての語り」では、自分自身を対象にして、変化した自分との関わりについて語られていた。そうした語りには、〈親とのかかわりの変化〉と連動していることが伺えた。さらに、相談員の返信から新たな見方を取り入れ、オルタナティブなストーリーが展開され、バーチャルな他者(Other)へ自分について語ることで、自己の再編が起こることが示唆された。 研究成果については、第31回国際心理学会議と日本心理臨床学会第35回秋季大会において、ひきこもりの子どもをもつ親からの電話相談の記録を基にして父母の体験の違いや、ひきこもりと不登校時期との関連について発表した。また、2017年12月15日にシカゴ専門職大学院の院生とひきこもりについてシンポジウムを行った。
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