2016 Fiscal Year Research-status Report
コンパッションに基づくいじめ予防教育プログラムの開発と普及
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26380932
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
伊藤 義徳 琉球大学, 教育学部, 准教授 (40367082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 徳 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (00422626)
杉浦 義典 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (20377609)
湯川 進太郎 筑波大学, 人間系, 准教授 (60323234)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | いじめ予防教育プログラム / compassion / self-compassion / 傍観者 / 公正世界信念 / mindfulness |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,compassionに基づくいじめ予防教育プログラムの洗練と効果検証に関わる研究を3件行った。本年度は,いじめが生じる学級風土の中でも多勢を占める,「傍観者」に焦点を当て,傍観者の冷たい態度がいじめを助長する雰囲気の形成に寄与するとの過程のものと,傍観者的態度を形成する要因として「公正世界信念(Belief in a Just World: BJW)」に焦点を当て,これがいじめ予防に及ぼす影響を検討した。初めに,本邦ではBJWを測定する尺度が開発されていないため,Lipkus, Dalbert, & Siegler(1996)による"Belief in Just World Scales for Self and Others"を著者の許諾を得て翻訳し,信頼性と妥当性を検討した(研究1)。次に,BJWといじめ傾向,及びcompassionの関連を検討するため,中学生155名を対象に質問紙による調査研究を実施した(研究2)。その結果,BJW-Selfはいじめ加害行動や傍観者的態度を低減し,compassionを促進することが示された。またBJW-Otherは,compassion傾向や「他者を助けたい気持ち」と関連するが,実際の援助行動を増加することはないことが示された。さらに,SelfとOtherの交互作用において,Otherが低いとき,Selfが高いと冷淡さが上昇することが示された。そこで,研究3では,これまでのプログラムにさらに両者のバランスの向上に関わる要素を追加し,その効果を中学生159名(4クラス)を対象に検討した。4コマの授業と教員研修からななるプログラムの効果を検証した結果,compassionスキルの向上は認められず,傍観者的態度の減少が認められた。compassionの尺度の問題,介入プログラムの改善,教員プログラムの強化などが課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プログラムは改善を重ね,おおよそ想定される効果に近づきつつある。しかし,まだまだ改善の可能性があり,現場教員からも意見を得ているところである。最終年度の次年度には改善点を考慮し,目的が達成される見込みであるため,上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,研究の総括と普及が当初の計画であった。最終的な効果の検証を行うと共に,研修会等の中で本プログラムを紹介していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度購入予定だった研究用PCの購入を次年度に延長させたため。本PCは,主に研究発表,普及の目的で使用する予定であり,本年度から使用を開始する予定であったが,普及のための活動はほぼ次年度に行うこととなったため,購入の必要が無かった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究発表,普及活動の際に中心的に使用するPCを購入する。
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