2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26380935
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
田上 恭子 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (80361004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 亮 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (20337207)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自伝的記憶 / 喪失 / 死別 / 悲嘆 / 精神的健康 / 継続する絆 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の大きな目的は,悲嘆の過程を自伝的記憶の機能から明らかにすることであった。しかしながら,これまで文献検討を綿密に行った結果,当初想定していた概念では明らかにしたい現象を十分捉えることができないことが考えられ,以下の4点を本研究課題の目的とすることとした。具体的には,1. 喪失対象を含む自伝的記憶の特徴とその関連要因について明らかにすること,2. 「継続する絆」と自伝的記憶の想起における主観的体験との関連を明らかにすること,3. 「継続する絆」と自伝的記憶の時間的変容に関する質的検討,4. 「継続する絆」,自伝的記憶の想起における主観的体験,及び精神的健康との関連性に関する仮説構築,である。 今年度は,近年の悲嘆や自伝的記憶に関する研究の動向,先行研究の知見を吟味し,目的1と2に関して,2つの調査を計画し実施した。 調査1は,対象喪失体験と喪失対象を含む自伝的記憶の想起の特徴,及び精神的健康との関連を明らかにすることを目的とし,一般成人400名を対象にWeb上で質問紙調査を実施した。現在,変数間の関連を分析しているところであり,結果のひとつとして,自伝的記憶の想起特性に喪失時の苦痛が大きく影響していることが示されている。次年度の学会でこの成果を発表する予定である。 調査2は,死別体験に焦点を当て,現在の精神的健康状態に問題がないと考えられる一般成人を対象とし,継続する絆,現在の悲嘆,及び自伝的記憶の想起における主観的体験との関連を明らかにすることを目的としてWeb上で質問紙調査を実施した。次年度,分析を行い,成果発表に向けて準備していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
主として,これまで研究に遅れが生じていたことの累積による。具体的には,文献検討を重ねた結果,当初予定していた概念では明らかにしたい現象を捉えることができないことが考えられ,研究計画を大幅に見直したこと,加えてさらなる文献検討を要したことが主たる理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,調査1・2のデータ分析と成果発表,「継続する絆」及び自伝的記憶の時間的変容に関する質的分析,そしてこれまでの成果を踏まえた包括的な質問紙調査を実施し,最終成果発表の準備を行う予定である。具体的には以下の通りである。 1. 質問紙調査1のデータ分析,学会発表及び論文執筆 2. 質問紙調査2のデータ分析及び学会発表の準備 3. 質的分析に関する具体的計画立案と実施: 面接調査以外の質的分析も行っていくことを検討することに加え,Web等のツール活用など,情報発信を行うと同時に面接調査協力を一般市民に求める等,工夫を行っていく予定である。 4. 質問紙調査3の計画立案と実施: これまでの研究(特に質問紙調査1・2)を踏まえ,包括的に変数間の関連をモデルとして捉えることを目的とした研究を計画し実施する。
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Causes of Carryover |
研究に遅れが生じ,目的3・4を明らかにするところまで至らなかったため,調査等実施に係る経費を使用せずに次年度使用額が生じた。また目的1・2を明らかにするために実施した調査1・2に関して,成果発表までに至らなかったため,成果発表に係る経費においても次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1. 中間成果発表経費: 調査1と2の成果に関する,学会発表及び論文投稿に係る経費(消耗品費,英文校閲費,学会参加費,旅費,論文掲載料等)に充てる。 2. 質的分析実施費: 目的3に関する質的分析の研究計画・実施に係る経費(消耗品費等),および面接調査等を行うこととした場合は,それに係る経費(謝金や場合によってはWebページ作成費等)に充てる。 3. 質問紙調査実施経費: 当初計画通り,リサーチ会社に目的4に関する質問紙調査実施を委託する経費及び調査実施に係る消耗品費等に充てる。
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