2016 Fiscal Year Research-status Report
非行少年の被害経験が非行性に及ぼす影響-いじめ,虐待,犯罪被害等の経験に注目して
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26380936
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
堀尾 良弘 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (40326129)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 犯罪心理学 / 非行臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,非行少年の生活環境における様々な被害経験,とりわけいじめ,虐待,犯罪被害に注目し,これらの被害経験が非行少年の性格特性や非行性にどのような影響を与えているのかを明らかにする。非行少年の被害経験に関しては,身体的虐待,心理的虐待に加えて,非行少年自身がいじめられた経験や犯罪被害の体験も彼らの生活感覚,非行への指向性などに影響を与えているのではないかと推測される。そこで,本研究では非行少年の家庭・学校・地域等の生活環境における様々な被害経験を踏まえ,非行少年の心理特性と非行性について注目し,被害経験と性格特性,非行性との関連を明らかにする。さらに,被害が発生した際に,周囲の援助者の役割についても注目し,非行少年の更生のための手だてや回復への道のりを探り,更生に向けた援助者の役割について検討する。 研究初年度(2014年度)の非行少年調査(第1次)に引き続いて,次年度(2015年度)においては一般青年調査(第1次)を実施した。一般青年に対しても非行少年調査と同様に家庭・学校・地域等の生活環境における様々な被害体験についての質問紙を実施し,被害経験と心理特性との関連を探った。そして,本年度(2016年度)においては,初年度及び次年度に実施した第1次調査に加えて補助的な追加調査を実施して,これまでに収集したデータの見直し検討を行った。その結果,非行少年の被害経験の多さ,深刻度ともに一般青年を上回るものであり,被害経験と非行性との関連,とりわけ早期非行(初発非行)について実証的に明らかにした。それらの研究結果を第31回国際心理学会議(ICP2016)において研究発表(口頭発表)した。また,ルーマニアで開催された”the 21st Workshop on Aggression 2016”において,その研究結果の一部を研究発表(ポスター発表)した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(2014年度)及び次年度(2015年度)に引き続き,本年度(2016年度)においては補助的な追加調査を実施して,これまでに収集したデータの見直し検討を行った。それらの研究結果を第31回国際心理学会議(ICP2016)において研究発表(口頭発表)し,また,ルーマニアで開催された”the 21st Workshop on Aggression 2016”においても,その研究結果の一部を研究発表(ポスター発表)するなどして研究を進めており,研究計画に大きな遅れは出ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2017年度)は本研究計画の最終年度であり,これまでの研究のまとめを行う。とりわけ,被害経験を受けた際の援助者の有無,信頼関係の程度,援助行為の内容などについて,これまでに得たデータを基に分析を進める。あわせて,疎外感や無力感などの心理特性との関連についても探る。援助者の役割と今後の更生への手がかりについて検討し,被害体験からの回復に向けた援助者の役割について考察をまとめていく予定である。
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