2016 Fiscal Year Research-status Report
アタッチメント理論に基づくビデオ育児支援法の介入効果の検討
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26380940
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池邨 清美 (近藤清美) 帝京大学, 文学部, 教授 (80201911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳山 美知代 静岡福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70537604)
田辺 肇 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (60302361)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アタッチメント / 親子関係支援 / ビデオフィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,ビデオ育児支援法(VIPP: Video-feedback Intervention to promote Positive Parenting)を児童養護施設で行い,事例の数を増やした。その結果,児童養護施設で生育する2名の子ども(3歳児・男児,5歳児・女児)に実施することができ,家庭で生育するお子さん8事例の場合との比較を試みた。 児童養護施設においても,家庭と同じようにVIPPは,養育者が育児を振り返るのに有益であった。特に,児童養護施設における保育士は,育児効力感が十分にあり,育児スキルがあるが,VIPPによって自分の育児を振り返ることで,敏感性を高めることができた。また,しつけ方略について,これまでの実践の有効性を確認する発言が多かった。ただし,児童養護施設という子どもが集団でいる場面において,個別の子どもへの敏感性が高かったとしても,集団をどのように扱うかという点での敏感性の評価には課題があり,VIPPによる介入についても問題点が残った。 成果として,徳山が,アタッチメント・ベイスド・プログラムとの比較を試み,社会的養護下におけるアタッチメント理論に基づく介入についてまとめた。また,近藤がアタッチメントの生涯発達の中で,VIPPをはじめとする親子支援の重要性を論じた。しかしながら,データの分析は十分になされておらず,成果の発表には至らなかった。残された研究期間中に,VIPPのどの要素によって養育者の行動が変化するのか,データの精査を試みることに集中する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまで,二度にわたる大学の移動があり,研究に時間を割くことができず,研究計画の内容の変更が生じたばかりか,作業が大幅に遅れてしまったが,今年度も状況に変化はなく,計画より大幅に遅れている。 今年度は,帝京大学に来てから2年目にあたるとはいえ,研究協力者を募るためのソーシャルネットワークの構築がうまくいかず,研究協力者の募集ができないままでいた。したがって,当初予定した数の研究協力者を得ることができない状況にある。また,成人愛着面接の実施の難しさは,昨年と同様であり,当初計画したとおりに研究を遂行できないのは明らかである。しかも,それどころか,新しい大学での授業の準備や臨床教育に携わることによる学生の指導に時間がとられてしまい,データの分析や成果発表もままならない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の1年の延長が認められたため,継続して研究ができるようになった。今後は,研究対象者の事例数を10ケースを目標にできる限り増やすとともに,残りの期間においては,データ分析を進め成果を出すことに努める。特に,各事例の行動分析を行い,その特徴に注目しながら,質的な分析も試み,VIPPを通して養育者が,子どもの行動や気持ちの変化のどのような部分に注目するようになり,自身の行動を変えていくのかを明らかにしたい。今後は,データ収集のための費用はそれほど必要ではないが,データ分析と成果発表のための費用を使うことになる。
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Causes of Carryover |
現在の進捗状況において説明した通り,毎年のように大学を移動したことで,研究は計画通りに進まなかった。それでも何とか,データ収集に努めたが,その分析を行って成果を発表するには至っていない。そのため,研究期間を1年延長することで,成果を上げ達と考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
あと1年の期間をデータの分析と成果発表のために充てるため,今後は,データ収集のための費用はそれほど必要ではないが,VIPP実施中の音声データの分析のためのテープ起こしや,データの分析の評定者に支払うための謝金が必要となる。また,成果発表のための旅費も使用予定である。
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Research Products
(2 results)