2016 Fiscal Year Research-status Report
記憶愁訴とメタ記憶の関係性から評価する高齢者のコミュニケーション活動性
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26380944
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Research Institution | Gunma University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
島内 晶 群馬医療福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (80610625)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臨床心理学 / 記憶愁訴 / 高齢者 / メタ記憶 / 心理学的介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢期になると,記憶の失敗経験が多くなる。それにともない,家族をはじめとした周囲の人々から,その失敗経験を繰り返し指摘されることも増えるであろう。この指摘が高齢者をネガティブな精神状態,すなわち記憶愁訴へと導く可能性がある。本研究では,健常高齢者が他者から記憶能力低下について指摘されることが,本人の記憶に対する認識(メタ記憶)にどのような影響を与えるのかを検討することを主な目的とする。 本年度は,前年度までに実施した調査結果をもとに,前年度に引き続き,メタ記憶に関係すると考えられる諸側面に関して,詳細な分析を行った。その中でも,メタ記憶における主観的自信と「記憶の衰え自覚」の各尺度との関連について,年齢群(20代~30代の若年群,40代~50代の中年群,60代~84歳までの高齢群)から比較を行い,メタ記憶と精神的健康度に関して,さらなる分析を行った。その結果,記憶に対する自己認識と精神的健康度との関連においては,高齢群で「記憶の自信度」の影響が大きい可能性が示された。その成果は,ICP2016(The 31st International Congress of Psychology)や日本発達心理学会でポスター発表を行い,また今後も,学術論文の投稿、書籍の出版等を行う予定である。 そして,これまでに得られた知見をもとに,健常高齢者の方やそのご家族の方に加えて,記憶に衰えがみられはじめている高齢者の方やそのご家族の方にも対象を広げて,実施を予定している調査を行う際に用いる尺度や内容の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで得られたデータをもとに,メタ記憶に関係すると考えられる諸側面に関して,概ね順調に分析は進められている。しかし,それらの結果を踏まえて,さらなる調査を実施する予定であったが,諸事情により調査の開始の時期が遅れることになった。しかしながら,調査の準備自体は順調であることから,やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,調査の実施に向けてのさらなる準備を進めるとともに,調査の実施場所について,現在予定している箇所以外にも,対象や範囲を広げられるように,検討していきたいと考えている。また,訪問しての面接調査などが難しい場合の対策として,質問紙のみの調査の実施ができるように,多方面から検討していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度は研究遂行上の理由により,面接調査を次年度以降に実施予定としたため,そのために計上していた謝金,旅費,物品購入費を使用しなかった。以上の理由により,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,研究計画遂行のために,以下の項目について研究費を使用する予定である。研究代表者および研究協力者調査旅費(約20万円),研究代表者および研究協力者成果発表旅費(約20万円),成果発表費(約6万円),調査参加者謝金(約15万円),調査等で使用する消耗品等(約5万円),資料代(約2万円),運搬費(約2万円),印刷費(2万円)等。
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Research Products
(1 results)