2016 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring the changing visual attention under the exposure therapy using eye-tracking device
Project/Area Number |
26380946
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
高橋 稔 目白大学, 人間学部, 准教授 (10341231)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / エクスポージャー法 / 視覚的注意 / 注意の回避 / アイトラッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
認知行動療法の一つにエクスポージャーがある。この技法は嫌悪刺激に比較的長い時間さらされることで不安や恐怖は低下するという原理を応用したものである。本研究は、アイトラッキングを用いて、不安や恐怖が低減されていくことに連れて、どのように変化していくかを検討することが目的である。 本研究では、限定恐怖症の中でも虫に恐怖を抱く体験を取り上げて検討することとした。最終年度にあたる本年度は、予備実験を経たのち、17名の成人を対象として、エクスポージャー法を進めるにしたがって、アイトラッキング装置を用いて視覚的注意を観察した。実験は、脅威刺激にさらした際に感じた不安のレベル(SUD)について100点、75点、50点、25点、0点の5段階で評価するよう依頼した。なお、エクスポージャーは3回繰り返している。主な結果は、刺激にさらされた時間、嫌悪刺激上に視覚的注意を向けていた時間およびその回数、そして嫌悪刺激に注意を向けた1回あたりの視聴時間の4点であり、試行回数(3回)×SUD(100(-76), 75(-51), 50-(26) 25(-1)点の4段階)の2要因分散分析を実施した。その結果、刺激にさらされた時間、嫌悪刺激上に視覚的注意を向けていた時間およびその回数では、試行回数による主効果が有意であった。これらの結果は馴化による効果と考えられる。また、1回あたりの視聴時間については、SUDによる主効果が確認された。よりSUDが高いレベルと比べると、低いレベルのSUDでは視聴時間が有意に長いことが明らかになった。この結果は、エクスポージャー技法を適用し、刺激の嫌悪性が変化することにともない、1回あたりの視聴時間が長くなることを意味するものである。このことから、SUDの違いにより視覚的注意による方略を変えていることを示唆するものと考えている。これらを踏まえ、臨床への応用について検討した。
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