2016 Fiscal Year Annual Research Report
Psychological support for hearing impaired people to improve mental health
Project/Area Number |
26380950
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
勝谷 紀子 青山学院大学, 社会情報学部, 助教 (90598658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 季佳 三重大学, 教育学部, 准教授 (90727942)
名畑 康之 北海道大学, 文学研究科, 学術研究員 (90733006)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 難聴 / ストレス / 心理的支援策 / 相互作用 / 精神的健康 / 不安 / 不確実性 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、中途難聴者の心理的支援策を考えることを目的に、支援に必要な要素を明らかにするために調査やインタビューの手法を用いて検討を行うものである。最終年度にあたる本年度は、以下のような研究を行った。 まず、難聴者を対象にインタビューを実施し、難聴であることにともなう困りごとや必要と考える心理的支援などについて聞きとりをした。聞き取った内容を分類、整理し、支援が必要な具体的な内容や場面が明らかとなった。次に、難聴者を対象にウェブ経由で調査を行い、聞こえの状況と精神的健康との関連を検討した。聴力が低いほど精神的健康が低いとは限らず、むしろ身体障害者手帳を取得していない難聴者の方が精神的健康の指標が低いことも示された。 さらに、難聴者が日常生活でどの程度困難を抱えているのか、また、健聴者は難聴者が日常生活でどの程度困難を抱えていると考えるのかを調査した。そして、両者が考える困難の程度にずれがみられるのかどうかを検証した。その結果、難聴者が回答した困難の程度に対して、健聴者が回答した困難の程度は低く、健聴者が難聴者の困難を低く認識することが明らかになった。加えて、本研究は、難聴者の精神的健康に関与する要因についても調べ、健聴者から理解されていないと思う難聴者や、これまでに健聴者から理解してもらえていないと感じた経験がある難聴者ほど、精神的健康が低いことを示した。 最後に、難聴者と健聴者の相互作用モデルに関する理論が少ないことから、コミュニケーション上のすれ違いが生じやすい異文化間相互作用モデルに関する文献を精査し、難聴者と健聴者の相互作用に影響を及ぼす要因として、不安と不確実性を抽出した。そして、健聴者と難聴者の相互作用について場面想定の質問紙を実施し、特に開示されていない難聴者との相互作用において、健聴者は不確実性と不安の高さから接触を回避しようとすることが示された。
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