2014 Fiscal Year Research-status Report
失語症者のための日常コミュニケーション自覚度評価法の開発
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26380955
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
吉畑 博代 上智大学, 外国語学研究科, 教授 (20280208)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 失語症 / コミュニケーション / 評価法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,文献研究と失語症者のための日常コミュニケーション自覚度評価法の試案を作成することを目的とした。 世界保健機構による国際生活機能分類(ICF:International Classification of Functioning, Disability and Health)の考え方に基づいて,環境因子や個人因子を含めて,失語症を捉えることを目的に書かれた文献に関する研究を行った。 また生活の質(QOL:Quality of Life)およびコミュニケーションの質を調べる既存の評価法や,日本音声言語医学会推奨版であるVSH(Voice Handicap Index)質問紙ならびにV-RQOL(Voice-Related Quality of Life)質問紙などで用いられている質問項目を抽出し,失語症者の日常コミュニケーション自覚度を明らかにするために適切なもしくは参考可能な質問項目かどうかを検討した。 さらに失語症者に日常コミュニケーションの困りごとについて調査を行った。その結果,コミュニケーションの満足度が高い群と低い群があることが見出され,高い群では「聞き役だが皆と一緒にいる」などの肯定的な意見があり,低い群では「家族以外とは話さない」など,自ら環境を狭めている発言があった。コミュニケーション満足度と,本調査で用いたコミュニケーション遂行度には,高い相関が認められた。また本調査から,失語症者に日常コミュニケーション自覚度を問う場合には,期間を設定する方がよいこと,また最終的な質問項目数としては,失語症者本人の回答になるため,日本音声言語医学会推奨版の質問紙とほぼ同様の30項目程度か,それ以下の20項目程度に抑える方が望ましいことが見出された。 今後は予備的な試案を作成し,失語症者への調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画段階では,文献研究および既存の検査結果などを参照し,本評価法の試案を作成した上で,少数名の失語症者を対象に,予備的検討を行う予定であった。しかしながら,質問項目の選定に時間がかかり,失語症者に実施するまでに至らたなかった。 今後,早急に質問項目を整理し,失語症者に実施することによって,予備的検討に進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,質問項目を整理した上で,失語症者数名に実施し,予備的検討結果として分析する。その分析結果ならびに専門家による研究協力者との情報交換や打ち合わせを経て,質問項目を修正し精緻化する。 失語症者自身が回答することになるため,回答方法についても,段階評価の取り方また添えるイラストが適切かどうか検討し,失語症者が理解しにくい/回答しにくい場合には変更を行う。 これらの検討結果を,失語症者のための日常コミュニケーション自覚度評価法の試案としてまとめる。その後,信頼性と妥当性について検討する。
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Causes of Carryover |
研究進行の遅れにより,調査研究を十分に行うことができず,また言語聴覚士など専門家からの専門的知識提供に対する謝金や,研究協力者へ研究補助としての人件費を十分に使用することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後,さらに調査研究を進めるとともに,本試案の作成のために,専門家から専門的知識を提供いただくとともに,失語症者への本試案実施と分析を行うことで,研究補助として人件費を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)