2015 Fiscal Year Research-status Report
生殖医療によって妊娠、出産、育児に至った当事者の心理過程
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26380956
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
菅沼 真樹 東海大学, 文学部, 講師 (40453708)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生殖医療 / 妊娠 / 出産 / 育児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生殖医療(不妊治療)によって妊娠、出産に至った当事者を対象とした面接調査を縦断的に実施し、妊娠前(不妊治療中)から妊娠、出産、育児期にわたる当事者の心理過程を、夫婦関係や親子関係の実際も含めて明らかにしようとするものである。今年度はその2年目にあたり、先行研究の概観を行うとともに、調査協力機関との具体的な調整を行った。 極めて多忙な先端医療の現場において、妊娠中から育児期という心身の負担の高い時期にある当事者の協力を得るために、倫理的にも実際的にも妥当で無理のない手続きを検討した。しかし、調査実施のためには、医師、助産師、看護師、事務職員などの多くの現場スタッフの協力を得る必要があり、関係部署の意見を十分に収集した上で調査実施の具体的手続きを整えるまでに予定以上の時間を要した。そのため、今年度は初期調査を開始する予定であったが、現場の具体的な状況を把握しながら予備的な検討をするに留まった。 予備的検討からは、体調が不安定な妊娠初期と体調の安定した妊娠中期以降では不安が異なること、不妊治療による妊娠の中でも妊娠に至る経緯によって妊娠中の心理は異なり、流産や死産の経験がある妊婦やハイリスク妊婦においては調査目的の面接を実施するにあたっても臨床的な配慮は必要であることなどが示唆された。また、育児期においては、1人目の子育てと2人目以降の子育てとは当事者(母親)の心理も異なり、いわゆる「2人目不妊」の治療を希望する当事者の中には、第1子を出産して「不妊」ではなくなってもなお満たされない葛藤が存在する場合もあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査協力を依頼する医療機関での具体的な調査実施手順の調整において、協力を得るべき関係スタッフ数が多く、多忙な日常業務の合間を縫っての打ち合わせとなるため、当初の予定通りに進めることができなかった。また、協力機関側の調整可能日程と、筆者の研究出張可能日程(特に本務での授業期間中)とが、原則的に一致しないことも、当初の計画が遅れた大きな要因であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初から大規模サンプルを想定していないため、当初は筆者がすべての調査工程を担う予定でいたが、今後も研究遂行上の遅れが生じるようであれば、面接調査依頼や実施のうち、部分的にでも補助を依頼することを検討したい。その場合においても、協力機関や協力者の負担が最小限となるように遂行していく。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも、調査開始が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終的に得られる協力者の人数などは、現時点では厳密には予測できない。また、研究の状況によっては、研究補助の依頼を検討する可能性もある。これらによって当初の計画よりも経費を要した場合に、これを充てたいと考えている。
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