2019 Fiscal Year Annual Research Report
Psychological process in couples with children following infertility treatment : during pregnancy, childbirth and parenthood
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26380956
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
菅沼 真樹 東海大学, 文化社会学部, 准教授 (40453708)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生殖医療 / 妊娠 / 出産 / 育児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生殖医療(不妊治療)によって妊娠、出産に至った当事者について、妊娠前(不妊治療中)から妊娠、出産、育児期にわたる心理過程を検討するものである。文献研究からは、妊娠前(不妊治療中)においては生活全般にわたって高いストレスが経験されること、妊娠中においては妊娠初期には流産などに対する不安が高くその不安は無事に出産するまで継続すること、一方で妊娠中に肯定的な感情へと変化する可能性もあることなどが示された。また、出産体験への満足が産後の母親としての心理にも関連すること、産後うつのリスクがあった母親は育児期における孤立感が高いことなどが示された。 臨床的には周産期医療現場において不妊治療後の妊婦は些細なことにも敏感で対応上の特有の困難さがあると実感されることがあるが、これは不妊治療中の累積的な喪失体験から生じる不安のあらわれと理解することができ、不妊経験による心理的な傷つきや疲労をケアする期間として妊娠、出産、産後の期間をとらえて医療や心理等の専門職がかかわることの重要性が示唆された。生殖医療、周産期医療の手から離れて家庭や地域へと戻る育児期においては、不妊経験者としてケアされる場面は期待されにくい一方で、不妊経験者としての自己を意識させられる場面は存在すると考えられる。自然妊娠による「普通」の家族、親子と同じであろうとする当事者心理を理解した上で、育児期以降の不妊経験者をいかに支えていくかは今後の課題である。
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