2014 Fiscal Year Research-status Report
先天性心疾患患者の心理社会的発達課題と支援ツールの開発
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26380958
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
榎本 淳子 東洋大学, 文学部, 准教授 (50408952)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医療心理学 / 健康心理学 / 臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、調査1.先行研究の整理、知見収集、および海外での支援ツールの情報収集、調査2.医師、看護師、心理士、養護教諭に対して情報を収集することが目的であった。なお本年度の途中で前倒し請求を申請、許可され、当初の予定とは多少変更したスケジュールで研究が進んでいる。 26年度は調査1を中心に、特にアメリカの3つの子ども病院の(成人)先天性心疾患専門部門、また患者組織であるAdult Congenital Heart Association(ACHA)を訪れ、支援ツールの情報収集を積極的に行った。病院では自分の病状を記す手帳が作成され、ACHAでは充実したHPを所有、管理し、疾患に関する様々なリーフレットがダウンロードできるシステムになっている。またACHAは定期的なセミナーを開催し、それらの映像がHPを通して見られるようになっていた。さらにこれらの施設とは別に、患者に対する支援として、予防的な心理療法について情報を得ることができた。 また調査2については、病院に訪問した際に看護師、心理士に対して患者への支援に関して情報を得ることができた。その結果現状としては医療関係者が行う患者に対する支援は充実しているとは言い難いことが分かった。今後、疾患専門のソーシャルワーカーや心理士の常駐が望まれており、その体制について考えることも重要であることが分かった。 その他、学術雑誌、大学紀要に研究課題に関する論文を3本掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、調査1.先行研究の整理、知見収集、および海外での支援ツールの情報収集に関しては、積極的に行うことができた。調査2.医師、看護師、心理士、養護教諭に対して情報を収集することについては、養護教諭からの情報を得ることができていないが、その他については順調に進めることができた。 これらの結果をもとに27年度調査へと繋げることが可能な状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、情報の収集を中心に実施しており、27年度は支援ツールを使用する側である患者とその親に対して面接調査を実施し、発達に沿ってどのような支援ツールが望ましいのか、また実際にどのような支援が必要なのかについて、患者、その親の体験を通した情報を収集する。 最終的には26年度に収集した情報とともに、医師、看護師、心理士、養護教諭を対象にデルファイ法を用いた質問紙調査を実施し、患者の発達課題、および必要な支援項目を洗練、明確にする。特に支援項目については発達段階(乳児期・幼児期・青年期・成人期)ごと、さらに1. 医学的知識、健康管理に関する事項、2. 社会性の伸長に必要な事項、3. 患者向けの事項、4. 親向けの事項に分けて明らかにする。 これらを実施するにあたり、情報に偏りが出ないように注意する必要があること、今まで行ってきた量的調査の結果も参考にし、デルファイ法に用いる質問項目を広く集めていく。
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