2015 Fiscal Year Research-status Report
先天性心疾患患者の心理社会的発達課題と支援ツールの開発
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26380958
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
榎本 淳子 東洋大学, 文学部, 准教授 (50408952)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 医療心理学 / 健康心理学 / 臨床心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は先天性心疾患の患者が成人期において向き合う心理社会的な問題への予防を目指して、1. 新生児期から成人期において患者の発達上に生じる心理社会的課題の具体的内容とその達成に結びつく支援を項目化し、明確にすること、2. 患者の持つ心理社会的課題への取組みを手助けする発達支援ツール(ガイドブック)を開発、作成することを目的としている。 27年度は、患者が持つ心理社会的課題を明確にし、項目化することを主な目的としていた。そのため養護教諭1名に面接調査を実施し、子どもの社会性の発達に重要な役割を果たす学校場面で生じる患者の発達上の課題と、その課題を達成するために必要な支援について情報を収集した。さらに成人患者2名に対して半構造化面接を実施し、現在までの生活の実体験、医療関係者との関わりをインタビューし、発達上での葛藤、また医療者側からの望ましい情報提供の在り方、社会性の発達において必要と思われる事項など、意見を聴取した。さらに今年度、および昨年度の調査で得られた結果から、先天性心疾患患者が向き合う発達課題を① 医学的知識、健康管理、② 社会性の伸長の2側面に分けた上で、具体的な課題とその達成に結びつく支援内容を発達に沿って項目化した。 また27年度中にオランダの学会に参加する機会があったため、オランダで最も大きく、積極的に先天性心疾患患者の心理社会面について研究論文を発表している病院(エラスムス医療センター)の心理士を訪問し、患者に対して行っている支援、および利用しているツールについて情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
27年度は先天性心疾患患者が向き合う発達課題を① 医学的知識、健康管理、② 社会性の伸長の2側面に分けた上で、具体的な課題とその達成に結びつく支援内容を発達に沿って項目化することができた。しかし研究計画では、これらの項目をさらに洗練するために、医療関係者、患者、その親へのデルファイ法を用いた質問紙調査を行う予定であったが、27年度内にその調査を行うことができていない。28年度初旬にはデルファイ法、もしくはそれに相当する調査を実施し、本研究の遅れを取り戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、調査デルファイ法を用いた質問紙調査(もしくはそれに相当する調査)を実施し、患者の発達課題、および必要な支援項目を洗練する。その後、本研究の最終的な目的である先天性心疾患患者への支援ツール(「先天性心疾患患者に対する発達支援ツール(ガイドブック)」)を開発、作成していく。その際、専門ワーキンググループを立ち上げ、選定された項目ごとにガイドブックに含める内容、レイアウトを検討し、それぞれの担当者が担当箇所を執筆する予定である。専門ワーキンググループメンバーとしては、先天性心疾患患者を診ている医師、看護師、さらに養護教諭、発達心理学研究者を入れる予定である。
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Causes of Carryover |
27年度は研究計画の一部(質問紙調査を実施し、患者の発達課題および必要な支援項目を洗練する)を実施することができず、最終的にその研究部分に相応する経費を使用することができなかった。そのため次年度への使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度初旬に、前年度に行うことができなかった研究に着手する予定であり、その際に前年度に使用できなかった経費を使用する。さらに28年度に予定している経費は研究計画通りに使用する。
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