2014 Fiscal Year Research-status Report
移行期にみる子どもの自己有能感・社会的受容感の機能
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26380962
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Research Institution | Seisen Jogakuin College |
Principal Investigator |
眞榮城 和美 清泉女学院大学, 人間学部, 准教授 (70365823)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己有能感 / 社会的受容感 / 移行期適応 / 小1プロブレム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,幼小や小中への移行期に関わる子どもの適応に関する研究が進められており(例えばBailey,et.al,2012,Ali,et,al,2014),子どもの自己効力感や教師-生徒関係の良好さの重要性等が指摘さている。つまり、「自己有能感(自分には得意なものがあると思えること)」や、「社会的受容感(他者から受け入れられられていると思えること)」は、環境移行をスムーズにする上で重要な機能を持っているものと考えられる。 H26年度調査では、過去に学校適応上の困難さを抱えた経験のある高等専修学校生(高等学校と並ぶ正規の後期中等教育機関。不登校生や高校中退生を受け入れるなどの特色があり中学校卒業後の進路先として注目されている教育機関)を対象とし、移行期の適応状態を促進/阻害した「自己有能感」と「社会的受容感」に関するレトロスペクティブデータを集積し、移行期における適応状況に影響を及ぼす「自己有能感」「社会的受容感」の機能について検討した。 調査対象者はN県にある高等専修学校1年生から3年生までの50名(男子12名,女子38名)平均年齢16.16歳(SD=0.25)であった。調査内容は、適応状況の指標として、気分調査票(坂野,1994):「緊張と興奮」「爽快感」「疲労感」「抑うつ感」「不安感」の5つの側面、および自尊感情尺度(山本・松井・山成,1982)を用いた。移行期における自己有能感・社会的受容感については、Child Assessment Schedule「自己イメージ(Hodges, 1982)を参考に、小・中・高の各入学前後における知的・運動・対人関係について回答を求めた。その結果、小学校から中学校移行期の「自己有能感」の高さは青年期の「自尊感情」を高め、小学校から中学校移行期の「社会的受容感」の高さは、青年期の「爽快感」を高める可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度はレトロスペクティブデータに基づく分析に重点を置いており、質問紙調査および面接調査を実施することが可能となった。またプロスペクティブ調査についても当初予定通りのペースで順調にデータ集積を進めていることから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度以降は、レトロスペクティブデータから得られた知見に基づき、プロスペクティブな調査を進めていく予定である。特に、小学校就学前後に焦点をあて、小学校での適応を支える「自己有能感」「社会的受容感」の機能について明らかにし、その発達プロセスについて検討を進めていく予定である。 調査対象者として、未就学児とその保護者のみならず、幼稚園教諭や保育士の協力を得る。また、H27年度に小学校へ入学した児童とその保護者および担任教諭を対象とした質問紙調査の実施も予定している。
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