2018 Fiscal Year Annual Research Report
Changes in the Psychological Features of Suicide Survivors Over Time
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26380972
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Research Institution | Koyasan University |
Principal Investigator |
森崎 雅好 高野山大学, 文学部, 准教授(移行) (00581159)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自死遺族 / 複雑性悲嘆 / 日本語版ITG / MMPI新日本版 / 二次的受傷 / 半構造化面接 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自死遺族への心理・社会的支援において配慮すべき視点を提示するために、自死遺族の経年毎の心理的特徴の変化の把握及び経年による生活上の困難事及び心理的苦痛の変化を検討することを目的としている。 遺族の経年による心的変化の量的検討を行うために、健康状態を把握するK6とSF-8、複雑性悲嘆の程度を測定する日本語版ITG及び心理的特徴を把握するMMPI新日本語版を使用した。また、質的検討を行うために、経年による生活上の困難事や心理的苦痛の変化などについてインタビュー調査を行った。 調査への協力者総数は41名であった。死別後1年目から35年目の方に協力いただいた。量的な検討を行った結果、時間の経過とともに健康状態(K6及びSF-8)は良好になり、また、ITGによる悲嘆の程度も軽くなっていることが示された。しかし、MMPIを用いた検討では、経年によって変化が見られた尺度は外向性に関する指標のみであった。一方、ITGの得点と、抑うつ、不快感、情緒的混乱、自我強度などを示すMMPIの尺度得点との間に弱から中程度の相関がみられた。 これらのことから単に経年によって心理的な変化がみられるのではなく、悲嘆の程度と心理的要因が関連していることが示唆され、遺族への支援には悲嘆に関する心理的要因へのアプローチが有効であることが考えられる。 また、インタビュー調査からは、死別直後は自制や自罰の思いが強いものの、次第に「自分の時間を作ろうという気持ちになった」という声に代表されるような「自身を赦す」といった心理状態に変化していく様子が多く語られている。また、悲しみから少しでも立ち直ることができるようになったと感じたのは、死別後3~5年経過した頃であったとの声が聞かれ、辛く悲しい気持ちは年数が経過しても変わらないものの、抑うつ的な状態になる日が減ってくるのもこの時期になるようである。
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