2014 Fiscal Year Research-status Report
視覚・聴覚同時呈示法を用いた事象関連電位による虚偽検出
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26380973
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
平 伸二 福山大学, 人間文化学部, 教授 (30330731)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 虚偽検出 / 事象関連電位 / P300 / 視覚・聴覚同時呈示法 / 同比率 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚・聴覚同時呈示法によるP300を指標とした虚偽検出の効果を検証するため, 6つの研究を3年間で行い,その成果を国内外の学会で発表していく中で,平成26年度は,自己姓を用いた単一プローブ法による検討(研究1),模擬シナリオ課題を用いた単一プローブ法による検討を行った(研究2)。 研究1では,自己姓である裁決刺激と他者姓である標的刺激・非裁決刺激を同比率(標的刺激1,裁決刺激1,非裁決刺激1)として視覚・聴覚同時呈示で行い,加算平均回数を5回,10回,20回で処理をして,新たなプローブ法での有効性を検討した。10名の大学生から脳波を測定して分析した結果,5回,10回,20回のいずれにおいて,標的刺激と裁決刺激,標的刺激と非裁決刺激,裁決刺激と非裁決刺激の間には有意な差が認められなかった。研究2では,模擬窃盗シナリオ課題による実験を行った。シナリオは『昨日の午前2時に,青葉台の住宅へ玄関から侵入し,黒色の布袋に入った金貨を盗み,マツダ車で逃走した』という内容で,3回連続して再生できた後に実験を行った。標的刺激は「サクラ」,裁決刺激は「キンカ(金貨)」,非裁決刺激「トケイ(時計)」と,研究1と同様に視覚刺激はカタカナ表記をした。結果は研究1と同様に,10名の大学生から脳波を測定して分析した結果,5回,10回,20回のいずれにおいても,標的刺激と裁決刺激,標的刺激と非裁決刺激,裁決刺激と非裁決刺激の間には有意な差が認められなかった。 研究1,2ともに,裁決刺激と非裁決刺激に有意差が認められないことは一貫しており,新たな実験プロトコルを考える必要が示唆された。したがって,視覚・聴覚同時呈示法における刺激間間隔を1500 msから4000 msに延長した実験を付加的に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究1と2を実行することができた。その成果の一部を第31回日本行動科学学会ウィンターカンファレンスの特別講演で発表した(2015年3月5日)。また,第33回日本生理心理学会大会で研究1,2の成果を発表する予定である(2015年5月23日)。 但し,研究1,2ともに予想された裁決刺激と非裁決刺激の有意差が認められていないため,計画以上に研究を進展させることはできず,刺激間間隔を延長する新たな実験を行って,視覚・聴覚同時呈示法にふさわしい実験プロトコルを模索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
既に着手したように研究1,2ともに予想された裁決刺激と非裁決刺激の有意差が認められていないため,刺激間間隔を延長する新たな実験を行って,視覚・聴覚同時呈示法にふさわしい実験プロトコルを模索中である。また,今後は当初の計画にもあったように,末梢指標と中枢指標の同時計測による検討を行うことで,視覚・聴覚同時呈示法にふさわしい実験プロトコルを確立していく。末梢指標には永年の研究知見がある心拍,皮膚電気活動,呼吸を計測し,裁決刺激の識別性の向上を達成できる実験プロトコルを確立し,最終年度の直後群と遅延群の研究,カウンタメジャーへの対抗研究など,実務応用に必要な研究に結びつけていく。
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Causes of Carryover |
海外での国際学会での資料収集を予定していたが,自らも国内委員となったInternational Organization of Psychophysiology (IOP) の大会が広島市で開催されて参加したため,当初の予定より支出が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実験遂行における末梢指標のソフトウェア購入,分析用のノートパソコン購入という物品費として使用する計画である。
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