2015 Fiscal Year Research-status Report
アルコール関連問題の支援者へのエッセンシャルスキル獲得に関するプログラムの開発
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26380978
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Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart University |
Principal Investigator |
石井 宏祐 鹿児島純心女子大学, 国際人間学部, 准教授 (30441950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 洋一 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 准教授 (20369185)
松本 宏明 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (90625518)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルコール依存症の形成と回復 / コントロール感 / アルコール・リハビリテーション・プログラム / ドメスティック・バイオレンス / DVサバイバー / 質的研究 / 量的研究 / 文献研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、アルコール関連問題に携わる支援者のためのエッセンシャルスキルに関するプログラムを開発する。重大な健康問題かつ社会問題であるアルコール関連問題については,国内外でいくつかの優れた回復支援プログラムが開発されている。しかしながらこれらのプログラムを,支援者がどのような回復像を目指し,いかなる態度で取り組むべきかについては,ほとんど語られてこなかった。いわゆるエッセンシャルスキルについての整理が大きな課題として残ったままなのである。アルコール臨床について専門家スタッフは今なお,回復が難しくあまり関わりたくない,といった抵抗感や無力感を抱くことが多い。本研究では,「回復像の構築」と「自らの嗜癖性への気づきに基づく共感」を軸とした,エッセンシャルスキルに関するプログラムの開発を目的としている。 昨年度は①看護師を対象にした質問紙調査を行い、アルコール依存症者への陰性感情に看護師が振り回されないためには、陽性感情を高めるだけでなく、アルコール依存症の回復可能性を見出すことの重要性が明らかになった。また、②学会でも変化観について自主シンポジウムを行った。さらに、③嗜癖的に嗜癖問題にアプローチしてしまう援助者の危険性を踏まえて脱嗜癖的なアプローチについて論文にまとめた。 本年度は、①アルコール依存症者へのインタビューデータを分析し論文としてまとめた。また、②アディクションの重要概念であるコントロール感を包括的に測ることを意図しコントロール感尺度を作成し論文としてまとめた。さらに、③精神科領域におけるARPの変遷と課題について文献研究としてまとめた。加えて④⑤暴力への嗜癖と考えられるDVの被害者となり、そこから生き延びたDVサバイバーを対象に質問紙調査を行い、そのコントロール感に着目した論文を2本執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量的研究、質的研究、文献研究と順調に成果をあげている。援助者への量的研究は既に終えており、質的研究を進めている段階である。次年度は実際にプログラムの効果研究をしていくが、プログラム作成に必要なエビデンスはほぼ揃っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,「回復像の構築」と「自らの嗜癖性への気づきに基づく共感」を軸とした,エッセンシャルスキルに関するプログラムの開発を目的としている。今後はプログラムの作成とその効果研究を行う。これまでの研究成果をプログラムとして纏め上げる。援助者のアルコール依存症者への陰性感情についての知見、回復可能性に関する知見を盛り込む。しかし「自らの嗜癖性への気づきに基づく共感」についてのデータが不足している。その点にまず取り組む。
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Causes of Carryover |
当該年度はこれまで蓄積したデータをもとに、6本の学術論文を執筆することに重点を置き、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
蓄積したローデータの分析と、新たなデータの蓄積とその分析、またプログラムの開発とその効果測定等、研究費が必要である。 さらに学会での公表に際しても助成金を活かしていく。
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