2015 Fiscal Year Research-status Report
中枢ケトン体を介した新たな睡眠・高次脳機能調節機構
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26380987
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近久 幸子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (00452649)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 睡眠 / 脳機能 / エネルギー代謝 / ケトン体 |
Outline of Annual Research Achievements |
現時点までに、①睡眠障害モデルマウスの作成、②脳機能と代謝機能の測定、③脳内分子変化の網羅的解析、④薬物投与によるリカバリー実験、⑤特殊マウスの睡眠測定および行動解析を終了した。睡眠障害モデルマウスでは、覚醒量と活動量の増大、体温上昇、睡眠深度の減弱、GTTの悪化や呼吸商の変化が認められた。視床下部においてケトン体合成に関わる遺伝子発現が減少傾向にあったことに加え、免疫系に関わる分子に変化が認められた。さらに、ヒスタミンのH1受容体のブロッカーを投与することにより、睡眠とGTTの改善が認められた。ニューロン特異的にケトン体の分解酵素を過剰発現させたマウスでは、睡眠が慢性的に深くなっていること、うつなどの情動行動に変化が認められることが明らかとなった。これらのことから、中枢のケトン体代謝が睡眠調節に深く関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度は、睡眠障害モデルマウスの代謝変化や脳機能変化を詳細に観察し、メカニズムの解明まで検討した点で、概ね順調に進展しているといえる。しかし、当初予定していたケトン体合成酵素の過剰発現マウスについては繁殖がうまくいっていないため、「おおむね」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
ケトン体合成酵素の過剰発現マウスについて、繁殖法を再検討しなおし、実験に使用できるように工夫する。また、今年度明らかとなった睡眠障害モデルマウスで変化の認められた分子に関して、免疫組織学的手法を用いて、ケトン体合成酵素などとの多重染色を行っていく。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変動物の繁殖に時間がかかっているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繁殖方法を工夫して早急にマウスの系を確立し、ただちに実験計画を遂行する。 未使用額については、交配用マウス購入、ジェノタイピングに必要な試薬、抗体、プローブなどの購入に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)