2017 Fiscal Year Annual Research Report
Psychophysiological research for investigating influences of chronic exposure to violent games and motivational activation on affective information processing.
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26380996
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
栗田 聡子 三重大学, 国際交流センター, 准教授 (60588317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 順一 関西学院大学, 文学部, 教授 (80211845)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 暴力的ゲーム経験の影響 / 情動的な情報処理 / 生理心理実験 / 脳波測定 / 脱感作 / 鋭敏化 / 事象関連電位 / 二次課題反応時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
青少年による銃撃事件が続発している米国では,暴力的ゲームで遊ぶ習慣が心理や行動に与える影響に関する研究が長年継続されており,近年では,現実世界の暴力に対して生理的・感情的・認知的な反応が低下する「脱感作」という現象に焦点が当てられている。一方で,本研究による前年度までの生理心理測定による実験結果は,「脱感作」は主観的感情と関連している情報処理の後期で現れやすい現象であり,初期の注目段階ではむしろ「鋭敏化」している可能性を示唆していた。 最終年度には,暴力的ゲームで遊ぶ習慣は,暴力的な刺激に対してより注目させる影響がある(鋭敏化),という仮説を検証するため,様々な動画を視聴中に手首に呈示したプローブ刺激(電気刺激)に対する脳波と二次課題反応時間(STRT)を計測した。二次課題法は,主課題への注意資源の配分量(注意のレベル)を測定するために使用される事が多い。先行研究によると,プローブ刺激に対する脳波のP300振幅は,主課題への注意レベルが高いほど減少する傾向が見られているが,主課題への注意レベルとSTRTの関係についての理解は複雑であり,議論が分かれている。本研究では,研究協力者であるLangも提唱している理論をもとに予測をたて,ほぼ予測どおりの結果を得た。VGで遊ぶ習慣は,回避システムを活性化させる刺激に対して注意レベルを上げ(鋭敏化),覚醒度の低い刺激や単に快い刺激に対しては注意レベルを下げる可能性を示唆した。経験による情報処理プロセスの効率化をあらわす現象であるとも言える。 これらの結果は,暴力的ゲームの影響が「脱感作」という一元的な理解にほぼ終始していたこの研究領域に,「鋭敏化」「情報処理のプロセス」という議論を加えただけでなく,中枢・自律神経系データ,反応時間という複数の指標を駆使した一連の実験結果が,生理心理学に新たな科学的知見を加えることができた点で意義深いと考える。
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Research Products
(2 results)