2014 Fiscal Year Research-status Report
ルソーにおける孤独の教育的意義の考察―ペトラルカの人文主義哲学を参照枠組として―
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26381006
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
室井 麗子 岩手大学, 教育学部, 准教授 (40552857)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ルソー / 霊的な訓練 / 孤独 / P.アド / ペトラルカ / 教育思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、本研究課題の準備的作業を中心に行った。 まず、本研究課題の分析枠組である「霊的な訓練」ならびにその中の「孤独の訓練」に関わる文献をいくつか解読・分析し、分析枠組の精緻化を行った。特にP.アドの文献を取り上げ、例えば、『古代哲学とは何か Qu'est-ce que la philosophie antique?』の解読を通して「霊的な訓練」を思想史的に把握し、あるいは、『内なる砦 La citadelle interieure』の解読を通して、「孤独の訓練」を分析するための素材や観点・方法等について明確化した。 次いで、本研究課題の参照枠組である、ペトラルカの孤独の訓練に関わるテクスト『孤独生活論』と、このテクストに関わる先行研究を分析し、「孤独の訓練」について記されたテクストを分析する際の観点・方法等を明確化した。加えて、上記文献『内なる砦』でアドが分析素材としているマルクス・アウレリウスの『自省録』ならびにそれに関わる研究文献を分析し、孤独の訓練の諸実践を具体的にどのように抽出し得るかを明確化した。 さらに、本研究課題の主たる素材であるルソーのテクストのうち『告白』と『孤独な散歩者の夢想』に関連して、特に自伝研究という枠組からなされた研究文献を解読・整理・分析した。この作業を通して、ルソーの上記文献に関する先行研究の分析枠組・観点・方法等を改めて明確化し、これらの先行研究と、「霊的な訓練」ならびに「孤独の訓練」のテクストとしてルソーの上記テクストの再読を試みる本研究課題との相違を明確化した上で、本研究課題の有効性を再確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
P.アドの『古代哲学とは何か』を翻訳・刊行する予定が生じ、この作業に多くの時間を費やす必要があったため、平成26年度は、精緻化した分析枠組・参照枠組を用いて、本研究課題の主たる素材であるルソーのテクストを分析し、成果を公表するということまではできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度に行った、本研究課題の準備的作業をもとに、本研究課題の素材であるルソーのテクストの分析を進め、成果を公表したいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度に購入予定していた文献を購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の文献購入費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)