2015 Fiscal Year Research-status Report
「国際的資質」形成プログラムに着目した東アジアにおける教師教育の比較研究
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26381008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 光晴 東北大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (00583155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 達也 明治大学, 文学部, 講師 (00581208)
嶋内 佐絵 上智大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80727107)
樋口 謙一郎 椙山女学園大学, 文化情報学部, 准教授 (40386561)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教師教育 / 東アジア / 国際化 / ISEP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東アジア諸国の教員養成及び現職研修が国際化にいかに対応しているかという問題意識に立つ者である。平成27年度は、研究目的の一つである、各国の教師教育における「国際的資質」形成プログラムの実態を明らかにすべく前年行なった韓国調査を踏まえ同様の質問項目を整理し、台湾の事例を調査した。台湾の事例は教員の養成課程・採用・現職研修という教職生活全体を通じた一体的な改革を進める事例として興味深い。平成28年1月に台湾を訪問し、国立台湾師範大学、国立政治大学、国立台北教育大学、教育部、国立中正大学、国立嘉義大学それぞれの教職担当部局においてヒアリング調査を行なった。調査では、エリートの中等教員養成機関、初等教員養成機関、地方の教員養成機関を網羅的に調査することができた。さらに教育部の担当者にヒアリングできたことにより、政府と大学、中央と地方、中等と初等という視点から台湾の教師教育全体を眺めることができた。 実際の調査では次のようなことが明らかとなった。まず、台湾において現在の教師教育の国際化が大きく推進されたのは「中小学国際教育白皮書」の発表によるこの白書の方針を受け現在学校現場で推進されているのが「学校本位国際教育プロジェクト(School-based international education program:SIEP)」である。このプロジェクトを通しカリキュラムの国際化、外国の姉妹校との国際交流、学校施設の国際化、教員の国際化を進めようとしていた。前年の韓国調査ではこういった学校現場を対象とした国家プロジェクトは見られず、教員養成機関の国際化が目指されていたことを考えると台湾においては学校現場の国際化に注力することで必然的に国際的資質が教員に求められてくるという違いが見られた。最終年度は我が国の事例と合わせ東アジアにおける教師教育の国際化モデルを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出産や育児など本課題の研究チームの周囲に変化があったものの、それぞれが補いながら本年の研究課題を進めることができた。特に台湾調査で台湾の専門家に調査協力を依頼することができ、当初の計画より大きな成果をあげることができた。 精力的に外国調査を進める一方で国内の研究者との研究会が予定されていたが開催することができず、我が国の事例収集が遅れている。これに伴い、我が国と比較する形での成果報告ができていないことが評価区分の理由である。平成28年度はこれまでの韓国・台湾の調査をまとめ比較軸を設定したうえで成果報告を行なう。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでの国内外の事例に関する訪問調査を継続しつつ、日本の大学の事例そして海外の先進事例の比較検討を進める。その上で、①韓国及び台湾の教員養成・現職研修における「国際的資質」形成プログラムの現状と課題に関する成果発表を行なう。②「国際的資質」形成に有効と思われる留学支援制度の在り方、語学や異文化理解をはじめとした「国際的資質」形成プログラムについての実態調査について成果報告を行なう。最後に、③これまでに明らかになった事例の実態をもとに総合的な比較検討及び理論的考察を行ない、その成果を発表する。
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Causes of Carryover |
本課題の研究チームに出産・育児に伴う休業者が生じたためその分の研究費が来年度への繰り越しとなった。また、台湾調査にかかる経費を研究協力者分確保していたが、同行した研究者が台湾滞在中に行なわれたため、節約することができた。この資金については最終年度の予算が少ないことから無理に執行することを避け、最終年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は追加で韓国と台湾の現地調査を計画している。また国内における研究会の開催を予定しているためにこれに繰り越された研究費をあてる。
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Research Products
(4 results)