2014 Fiscal Year Research-status Report
高等学校における学力評価システムの改善モデルの構築と評価に関する調査研究
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26381009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小泉 祥一 東北大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30136410)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育評価 / 学力評価 / 指導要録 / 教育課程経営 / 高等学校 / 小中高の連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等学校における学力評価システムの改善モデルを構築するために、文部科学省、中教審、教育委員会に対する聞き取り調査を行うとともに、指導要録改訂に関する審議会資料、および学力評価に関する手引書の分析を行い、学力評価の実態と課題について把握した。 とりわけ、文部科学省調査や教育委員会調査から、参考様式として提示された指導要録の様式が教育委員会や学校現場ではほぼそのまま使用されている状況があること、また、観点別評価と評定の作成について、県レベルで一定の標準的な取り組みを行っている自治体も見られるが、大方の自治体においては、評定が優先され、観点別評価が浸透しにくいという状況が依然としてあることを確認した。それは、近年大学入試は変化してきているものの、大学入試における調査書が大きく影響している。また、小中学校との接続を考慮し、高等学校入試において評定が明確に位置づけられていることも関係していることが分かった。現在のところ、観点別評価の扱いについては、教員の指導改善の活用、すなわち教員の指導を振り返る手立てとして観点別評価が活用されている状況であることが分かった。また、現在の評価の観点と学習指導要領の目標との整合性を明確にすることについては理解され、PDSサイクルの視点から見直す必要性について認識されているが、実際、関心・意欲・態度と思考・判断・表現の評価作成する段階ではたいへん苦労していることが明らかになった。さらに、教員の負担軽減のために校務・成績支援システムの電子化も課題となっていることが分かった。 これら調査や資料・文献分析から得られた知見をもとに、次年度は高等学校における学力評価システムの改善モデルの構築を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定の文部科学省や教育委員会調査および指導要録改訂に関する審議会資料や先行研究の分析は順調に進んでいるが、アンケート調査と外国調査を次年度に持ち越している状況である。それは、各教育委員会の取り組み状況に大きな違いがみられ、教育委員会調査を丁寧に行う必要が生じ、それに伴い研究資料やデータの整理作業に時間を要し、そのことにより、研究活動がずれ込んだことによる。 このようなことから、順調に進展とは必ずしも言えず、やや遅れている状況であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の調査研究をもとに、高等学校における学力評価システムの改善モデルの構築を試みる。 教育委員会へのアンケート調査を行い、学力評価についての課題を把握し、確認する。 学力形成と学力評価に力を入れている高等学校への調査を行い、学力評価における工夫と課題について把握する。 初年度にできなかったイギリスの高等学校調査を行い、高等学校における学力評価方式の現状と課題について把握する。 教育委員会調査、高等学校調査、イギリスの高等学校調査をもとに、学力評価システムの改善モデルを修正する。
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Causes of Carryover |
教育委員会調査において収集した情報やデータがマル秘扱いということがあり、学生や院生にアルバイト作業として依頼することができず、その分次年度に持ち越すことになったからである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額が131981円であり、それを加えて、合計1331981円について、物品費500000円、旅費500000円、人件費・謝金231981円、その他100000円に使用する。
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