2015 Fiscal Year Research-status Report
現代中等教育における「自由教育」の展開に関する研究
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26381013
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
片岡 洋子 千葉大学, 教育学部, 教授 (80226018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 綾 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50174701)
佐藤 隆 都留文科大学, 文学部, 教授 (70225960)
佐藤 和夫 千葉大学, 教育学部, 名誉教授 (90114496)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自由教育 / フレネ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、フランスのラ・シオタ市にあるコレージュ・ジャン・ジョレスを訪問し、中等教育におけるフレネ教育の実験的カリキュラムCLEFについて調査をおこなうことができた。 今回は、埼玉県の自由の森学園高校の教師2名を同行し、日本での自由教育の実践を自由の森学園高校の生徒作成のビデオで紹介しながら、フレネ教育との共通性と違いなどについてコレージュの教師たちと当方のメンバーがディスカッションをおこない、日本とフランスの学校教育をどのようにつくりかえることをめざしているか、直面している課題は何かについて、研究交流をおこなうことができた。 また、コレージュ在学中の生徒と卒業生、および保護者と教師に参加してもらって、座談会をおこない、生徒や保護者が「伝統的な教育」と呼ぶ教授中心の通常の学校教育にどのような不満を持っていたか、フレネ教育は自分自身や周囲の生徒たちをどう成長させたと考えているかを率直な意見を聞くことができた。 フレネ教育は個々の生徒が自律的に学習計画をたてておこなう個別学習を基本にしているが、今回、教師も生徒も強調していたのは、生徒たちが学ぶことをとおして、協同的な関係を築くことであった。何のために学ぶのかをわかっていくこと、すなわち多様な人々が互いを理解し合い、互いを生かし合っていくための知識とスキルを身につけていくことが可能となる学校とカリキュラムを創造していくことが、CLEFの実践的試行に他ならないことを、これまで2回の訪問にも増して強く印象づけられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、1年目には2度目のCLEF調査をおこなうことができた。エコール、コレージュ、リセのそれぞれを訪問し、授業参観や教師、保護者、生徒からの聞き取りをおこなうことができた。またその訪問の成果を日本で報告した。 2年目の今年度は、日本ではあまり知られていない中等教育でのフレネ教育の実験の持つ意義について、日本のフレネ研究会の大会で報告し、またフレネ研究会紀要での発表もできた。そして、年度末に、当初の計画通り、日本の自由の森学園高校の教師を同行して、コレージュ・ジャン・ジョレスおよびリセ・リュミエールを訪問し、教師同士の研究交流と討議を実施することができた。 日本の教師がCLEFの試みをどのように受け止めるか、それ自体が本研究の一部であり、日程と経費のうえで困難も予想されたが、2年目に実施できたので、3年目にはそれらをとおして明らかになったことをまとめていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎えるため、これまでの2年間で明らかにできたことを国内研究会を開催し、またCLEFの教師たちにも伝え、意見をもらいながら、まとめていく。CLEFの教師たちのフランス語でのレポートの翻訳もおこない、国内で紹介していきたい。
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Causes of Carryover |
来年度の交付金額が少なく、翻訳謝金や会議費、国内旅費の支出が不足する見通しのため、今年度、他の費用等を工面して支出を抑えて、次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究まとめのため、国内研究会を開く予定であり、大阪の大学に異動した分担者の交通費や、資料の翻訳謝金に充てる予定である。
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Research Products
(15 results)