2014 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半のドイツにおける幼児教育の制度化と家族に関する社会史的研究
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26381016
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小玉 亮子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (50221958)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ドイツ / ヴァイマル期 / 幼児教育 / 家族 / 母 / 社会史 / 雑誌 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヴァイマル期ドイツにおいて、幼児教育の制度化過程において、家族がどのように議論されたのか、そしてそのことで、幼児教育と家庭教育の関係がどう規定されることとなったのかについて、明らかにすることを目的としている。研究対象は、1920年の全国学校会議と1922年のヴァイマル青少年福祉法制定、および教員や保護者にむけた雑誌である。これらについて、特にジェンダーの視点から分析して行きたいと考えている。 これに関して、今年度は、まず、8月の日本教育学会で、教育雑誌と家族雑誌を分析した発表をおこなった(「20世紀初頭のドイツにおける母イメージ(母の表象)の展開と教育―母の日の普及に焦点をあてて―」日本教育学会第73回大会 於九州大学)。ここでは、Deutsche Lehrerinnenzeitung、Berliner Lehrerzeitung、Kindergarten、Der Kinderreiche の4誌において、教育の議論の中で、母イメージがどのように表象されているのか、の比較分析を行った。雑誌媒体の政治的性格によって、母イメージをどのように強調しているのかについて差異を明らかにした。 さらに雑誌の収集の必要があることから、9月からドイツでの資料調査にあたった。9月の資料調査では、今回は、地方都市の状況の把握のために、ミュンヘンにあるBayerische StaatBibliothekでの資料調査にあたった。Beilage zur Allgemeinen Deutschen Lehrerzeitung等の雑誌資料収集を行った。これらについては、学会発表と合わせて論文にまとめる作業をしている。 加えて、3月に「ジェンダーとセクシュアリティ」という論文を発表したが、本論文によって、現時点でのジェンダーと教育に関して理論的な基礎を固める視角をまとめることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヴァイマル期の教育論において、ジェンダーの視点からみたときに対立や相違を確認することができたことは一定程度の成果だと言える。今年度は、資料調査と先行文献の検討に力をいれ、ジェンダーと教育に関する現時点での問題状況の整理することができたと考えている。 これをうけて、現在は、8月の学会で報告したものを論文化する作業に着手しており、これを発表することを次年度の課題としたいと考えている。また、9月の資料調査は、短期での調査だったこともあり、さらにあきらかになった資料の収集まですることができなかった。本年は、この点を進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、昨年以来着手している学会発表の論文の執筆とその刊行を行いたいと考えている。ただし、更なる資料の収集も必要となるため、9月にドイツでの調査も予定している。 特にその際に、幼児教育史の研究の現状について、より、情報を得ることを課題となると考えている。ジェンダーと教育という枠組みでヴァイマル期の検討をおこなってきたが、幼児教育という視点での分析はさらに進める必要があると考えている。ヴァイマル期の幼児教育に関する研究は既に先行するものがあるが、その最新の状況について、平成27年度は、さらに情報収集する必要があると考えている。 これについて、平成26年度はミュンヘンで調査をおこなったが、27年度は、ベルリンの教育史研究図書館(Bibliothek fuer Bildungsgeschihitliche Forschung)および、ライブツィヒにあるドイツ国立図書館(Deutsch Nationalbibliothek)での調査が必要であると考えている。
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