欧州高等教育における大学教授学の形成過程と内容構成

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26381017
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 加藤 かおり 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (80323997)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 大学教授学 / 大学教師 / プロフェッショナル教育 / 大学教授資格

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、欧州高等教育における大学教員の初期キャリア段階の教育職能開発プログラムの正規（フォーマル）化に着目し、その学術性の核となる新たな専門分野としての「大学教授学(university pedagogy/Higher Education Pedagogy)」の形成過程およびその内容構成の全体像を明らかにすることを目的とする。
本研究は、3 カ年にわたり「大学教授学」について、主に(1)先行研究をはじめ資料情報の収集および分析に基づく理論研究と(2)「大学教授学」の形成に先進的な欧州圏内の数カ国における海外調査研究の方法により、次の３つの側面から行う。
第１に、各国、各機関での大学教員の教育職能開発プログラムの正規化の背景および「大学教授学」形成の文脈の側面（なぜ正規化なのか）。第２に、「大学教授学」の専門知識内容及びその指導方法等全体像（何がどう形成されてきたのか）。第３に、開発プログラムの正規化及び「大学教授学」導入による成果と課題（どのようなインパクトがあったか）。
平成26年度は、大学教員の教育職能開発プログラムに関する先行研究を手がかりに、関連する資料情報を収集しつつ、イギリスにおける第１、第２、第３の側面についての実態調査研究に着手した。具体的に、イギリスの教育職能開発プログラムの内容構成に関わる情報や，プロフェッショナル教育の枠組み改革や教育プログラムのチューニングの動向など教育職能開発プログラムの正規化の文脈に通じる資料情報を入手することができた。
また平成26年度は同時に「大学教授学」の形成についての学術的な新奇性を考察するため、日本の大学教育課程の従来のあり方とその課題についての情報資料収集を行い、その相違を明らかにすることができた。
以上の成果については、平成27年度に関連する学会等で発表する予定である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成26年の研究計画にあげた事項について、概ね実行し、その成果を平成27年6月の学会で発表すべく準備中である。（年度計画のうち海外出張による調査研究については、平成27年3月末に実施ずみであるが、事務手続きの関係で予算執行については平成27年度になっている）

Strategy for Future Research Activity

平成27年度も引き続き、研究の目的および計画に従って推進する。海外調査対象国については随時動向を見極めながら選択するようにする。

Causes of Carryover

平成27年3月下旬に実施した海外訪問調査にかかる旅費の執行の手続きが、現地購入の交通費計算などの関係上4月になったため、その旅費を含めた次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額については、すでに実施ずみの旅費として実際にはほぼ使用済みである。したがって、翌年分として請求した助成金は当初の計画のとおり使用予定である。