2014 Fiscal Year Research-status Report
デューイの反省的美的探究教育理論から見た実験室学校における教育実践の現代的意義
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26381021
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 操 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50183562)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ジョン・デューイ / 反省的美的探究 / 実験主義的想像力 / 反省的思考 / 美的経験 / 汎用的学習力 / 深い学習 / 転移可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アメリカの教育学者ジョン・デューイが取り組んだシカゴ大学「実験室学校」での教育実践記録を分析することにより、「反省的思考」と「美的経験」が融合された理論として構築された「反省的美的探究」教育理論の基礎的研究に取り組むことである。 今年度の研究成果は、第一に、実験主義的知性の美的な働きに関する考察として「デューイの美的経験論における実験主義的特徴―「一つの経験」と「質的思考」の意義再考―」『日本デューイ学会紀要』第55号、2014年10月、64- 73頁を出版し、反省的思考として展開された実験主義的な想像力に関する研究として「デューイの『思考の方法』に見る実験主義的想像力の展開」日本デューイ学会第56回大会、2014年10月3日、同志社大学で研究発表を行った。 第二に、反省的美的探究教育理論に基づいた汎用的学習力の可能性について、大学教育における学士力を中心に考察し、「 『深い学習』とは―大学教育は『転移可能性』を教えられるのか」『教育哲学研究』109号、2014年 5月、93-98頁を出版した。 第三に、教育理論と実践を結びつける想像的な働きの可能性についての討議を検討した報告書として「教育実践と教育哲学―これまでの教育哲学、これからの教育学―」『教育哲学研究』109号、2014年5月、49-54頁(田中智志と共著、担当部分49-52頁)を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年時の研究成果、「デューイの美的経験論における実験主義的特徴-「一つの経験」と「質的思考」の意義再考―」、「デューイの『思考の方法』に見る実験主義的想像力の展開」、「 『深い学習』とは-大学教育は『転移可能性』を教えられるのか」、「教育実践と教育哲学-これまでの教育哲学、これからの教育学-」の4点は、現代学校教育改革の中心理念となっている「主体的な学習」や「転移可能な学習力」の理論的実践的基盤についての示唆を提供するとともに、デューイの反省的美的探究理論の考察とのつながりを見いだすための基盤となりうると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方向としては、第一に、デューイの反省的美的探究教育理論の構造についての考察を深めるとともに、実験室学校での教育実践やカリキュラムを分析することにより、想像的共感的な学習力の特徴を検討する。 第二に、現在の教育改革で論議されている主体的な学習や汎用力・転移可能な知識やスキルなどの理論的実践的特徴を調べるとともに、デューイの反省的美的探究教育理論における理論的分析に取り組み、学習-教育活動における感性・観念・想像力・直観的行動の働きに見られる転移可能性や汎用性の特徴について研究する。 これらの研究方針に基づいて、最終年度のねらいである日本的な想像的探究教育理論や想像的共感的学習力育成の教育理論の構築に取り組む。
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Causes of Carryover |
本年度に注文した著書や文献が期限内に間に合わなかったため、翌年度分とまとめて購入する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度には早い段階で文献や資料などを計画的に受注し、早い段階で執行する予定である。
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