2015 Fiscal Year Research-status Report
デューイの反省的美的探究教育理論から見た実験室学校における教育実践の現代的意義
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26381021
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
早川 操 椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (50183562)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ジョン・デューイ / 反省的美的探究 / 実験主義的想像力 / 反省的思考力 / 汎用的学習力 / 縦と横の転移力 / 深い学習 / 越境型学習力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年次の研究成果は、第一に、デューイの反省的思考における美的質的な探究のプロセスの特徴を解明することによって、現代の教育理論の展開においても影響力を持っていることを検討することであった。それらの成果は、「デューイの『思考の方法』に見る実験主義的想像力の展開」『日本デューイ学会紀要』第56号、「デューイが描いた人間の課題と教育―デューイ研究の歩みを振り返る―」『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要』第61巻第2号に掲載された。これらの研究は新たな課題状況において想像的思考力を鍛えることによって未来の状況への対応能力が広がることを考察したものである。 第二に、反省的探究理論の現代的意義を汎用性や転移可能性の観点から検討した研究成果として、「流動化する社会と教育―汎用力・転移力を身につける―」『教育と学びの原理―変動する社会と向き合うために―』名古屋大学出版会、を発表し、さらに「汎用的技能の育成とわが国の大学教育の行方―『学士力』育成の背後にある教育観とその課題―」を教育哲学会第58回大会課題研究において報告を行った。これらの研究は汎用的で転移可能な知識や技能が多様な状況における想像的思考力の展開によって育成されることを検討したものである。 また、深い学習についての最近の研究動向をまとめた京都大学高等教育研究開発推進センター編著『ディープ・アクティブラーニング―大学授業を深化させるために―』の書評が、『教育学研究』第82巻第4号に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで2年間の研究では、本研究の中心テーマであるデューイの反省的美的探究教育理論の検討についておおむね順調に研究を実施し、その研究成果も着実に公表することができた。 また、反省的探究理論の現代的意義についても、現在の教育改革で注目されている主体的な学習、思考力の育成、深い学習などの背後にある汎用力や転移力の学習の意義や可能性を検討することでその究明に取り組んできた。 これまでの研究の焦点は、デューイの反省的探究教育理論と大学教育や初等教育との関係を中心に進めてきたが、最終年度は中等教育への示唆を含めて検討する予定である。また、21世紀の時代に求められる汎用的学習能力に関する考察をつうじて、日本型の想像的探究教育理論の構築をめざす。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究方向としては、第一に、デューイの反省的美的探究教育理論の構造についての考察に基づいて、実験室学校での教育実践やカリキュラムを分析することにより、想像的共感的な学習力の特徴を検討する。 第二に、現在の教育改革で論議されている主体的な学習や汎用力・転移可能な知識やスキルとの関連で、デューイの反省的美的探究教育理論における感性・観念・想像力・直観的行動に見られる転移可能性や汎用性の特徴について考察する。 これらの研究方針に基づいて、最終年度の目標である多様で個性的な学習と深い学習を融合した日本的な想像的共感的探究学習理論の構築に取り組む。
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Causes of Carryover |
本年度に注文した文献や資料が期限内に間に合わなかったので、最終年度にまとめて購入する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度には文献資料やその他の備品などを早い段階でまとめて発注して、2016年末までに研究成果をまとめる予定である。
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