2014 Fiscal Year Research-status Report
授業研究の「グローバル化」と「ローカル化」に関する実証的研究
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26381023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久野 弘幸 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30325302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千々布 敏弥 国立教育政策研究所, 教育研究情報センター, 総括研究官 (10258329)
サルカルアラニ モハメドレザ 帝京大学, 教育学部, 教授 (30535696)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 授業研究 / ロンドン市カムデン区 / シンガポール / インドネシア・バンドン / 授業研究の持続可能性 / 学校間ネットワーク / Learning Community / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
Arani, Shibata, Lee, Kuno, Matoba, Fong & Yeo(2014)において、シンガポールのローカルレベルの授業スクリプトを文化的授業分析の方法によって抽出する研究をまとめた。 Kuno & Ikura (2014) においては、日本のローカルな授業研究文化の一つである授業記録に基づく授業研究の特色を生かして、一つの単元を通して「抽出児」における学習過程の分析を行うことで、日本的授業研究の一側面を描出した。 アラニ(2014)においては、授業研究のローカル化とグローバル化を命題にして、その関係モデル的を仮説的に提起した。そこでは、グローバル化、ローカル化という事象は、グローバルな課題をローカルな視点と処方箋で改善しようとし、またローカルな問題をグローバルに進展する解決方法で改善しようとする営みであるというクロス課題解決モデルで示された。同モデルは、本研究実施上の基本的なフレームワークとして今後の理論形成の土台となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、①授業研究のグローバル化とローカル化の原理的解明、②授業研究展開国であるインドネシアにおけるローカル化・グローバル化の調査、③授業研究中核国であるシンガポールにおけるローカル化・グローバル化の調査、④授業研究新帰国である英国におけるローカル化・グローバル化の調査によって進めるよう構造化されている。 ①については、アラニ(2014)ならびに、現在執筆中の久野の論文により所定の整理をつけることができる状態にある。②については、本研究の協力機関であるインドネシア教育大学よりバンドン市内のGagas-Ceria Innovative Kindergarten & Schoolに協力と関係を結ぶことができ、質問紙調査と面接調査の基盤を作ることができた。③については、Lee氏ならびにLim氏へのヒヤリングにより、授業研究を通して得られる緊密な教員間の協力関係に着目し、それをより強化する目的の取り組みとしてProfessional Learning Community 形成の傾向が強まっていることを把握することができた。④については、ロンドン市カムデン区をベースに英国での授業研究の開発に取り組むダドレー氏のインタビューを行い、英国におけるローカルな文脈に関するのデータを得ることができた。一例を挙げれば、授業研究を実施してる学校を結び知見を交流させる学校間ネットワークの構築が特色として示された。 現在、得られたデータを元に、次年度に向けて比較調査が可能な共通質問紙ならびに独自性を明らかにするための個別質問紙の開発を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において調査対象となる地域ならびに調査対象を①インドネシア・バンドン市におけるGagas-Ceria Innovative Kindergarten & Schoolおよび周辺校、②シンガポールNIEによって2015年6月に実施されるLesson Study Immersion Programへの参加校 、ならびに③英国・ロンドン市カムデン区における授業研究プロジェクト参加校に設定し、それぞれの授業研究のローカル性とグローバル性を明らかにするための質問紙調査を開発・実施する。 質問紙調査においては、共通質問項目として、教員経験年数および授業研究経験年数・頻度、授業研究の認知の程度、授業研究によって得られた教員としての資質・能力、国や地域の教育委員会および大学等からの支援の有無とその内容、授業研究によって得られた成果と自己の教師としての職能成長の意識、現在直面している授業研究実施上の組織的課題、授業研究実施上の個人が直面している課題などについて取り上げる。 また、それぞれの文脈における固有な成果と課題について明らかにするために、3か国の国別の状況を踏まえた個別質問紙を開発し、実施する。質問紙の開発にあたっては、千々布の過去に行った調査の知見を踏まえることとし、調査の実施にあたっては、それぞれの国の協力機関の協力を仰いで行う。シンガポールと英国は英語での実施が可能であるが、インドネシアについては、インドネシア語への翻訳を行い実施する。
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Causes of Carryover |
予定していた購入物品が想定していた価格よりも安く調達することができたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度実施する調査のための消耗品購入(4,378円)の費用、および授業研究に関する外国書籍購入の費用(10,000円)として支出する計画である。
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Research Products
(13 results)