2015 Fiscal Year Research-status Report
授業研究の「グローバル化」と「ローカル化」に関する実証的研究
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26381023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久野 弘幸 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30325302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千々布 敏弥 国立教育政策研究所, 教育研究情報センター, 総括研究官 (10258329)
サルカルアラニ モハメドレザ 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30535696)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 授業研究 / ロンドン市カムデン区 / シンガポール / インドネシア・バンドン / 授業研究の持続可能性 / 学校間ネットワーク / Learning Community / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果としては、国際学術ジャーナルに2本の論文、国内の学会誌に2本の論文が掲載された。国際ジャーナルに掲載された論文は、イランにおける授業研究の発生・展開過程を負うことで、ローカルな文脈における初期段階の開発過程を明らかにしたもの(Moghadam, Arani, Kuno)と日本の任用前教師が授業研究によりどのように意識の変化を得たのかを明らかにしたもの(Chichibu)である。 また、国内学会誌掲載の2本は、シンガポールの教員に対する質問紙調査を行いその分析を行ったもの(千々布・久野)と、PISA調査をめぐる課題を論じるとともに授業観の転換に授業研究が果たす役割について述べたものである(久野) 学会発表については、国際招待講として(1)授業研究のカリキュラム適応性についての研究成果によるもの(ICLSI:inndonesia)、(2)幼児教育における授業研究を元にlearning commuityについて論じたもの(SECES2015:Singapore)の2本を行った。 また、国際学会の一般発表としては、(3)改善の科学として授業研究の新しい見方を示したもの(EARLI: Cyprus)、(4)授業研究のカリキュラム適用性について(WALS:Thailand)、(5)若手教師における授業研究による実践力量の形成について論じたもの(EAIS:Japan)、(6)指導主事によるラーニングコミュニティを通した授業改善について論じたもの(WALS:Thailand)の4本がある。 研究分担者の千々布による図書出版物は、福井県という日本の授業研究のローカル性を読み解く研究であるが、千々布・久野論文で執筆したシンガポール質問紙調査と重ね合わせることで、福井県とシンガポールの両面地域におけるグローバル性とローカル性の交差点が浮かび上がることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、アジアとヨーロッパの2カ所で、質問紙調査と現状観察に基づくデータ収集(実態把握)を行うことを中核的方法としている。第2年次には、アジアにおける先進的な授業研究実施国であるシンガポールを対象にした調査を行い、その成果を学会発表を行うとともに研究論文にまとめ公表した(査読付き全国学会誌)。 第2年次である今年度には、授業研究のローカル性とグローバル性の交差点に当たる研究課題として、研究業績に示した次のような主題が浮き彫りになってきた。すなわち「イランにおける授業研究」「initial teacher educationにおける授業研究」「カリキュラム適用性を高める授業研究」である。これらの研究課題の中に、本研究主題の授業研究のグローバルな文脈とローカルな文脈における課題と解決方法の交互作用を解き明かす鍵があるものと思われる。 これらの課題が次第に明らかになったことが、おおむね順調に推移している都判断する根拠である。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年次に実施したシンガポールを対象にした質問紙調査と同様に、第3年次においては、英国における質問紙調査を実施することを主な研究課題とする。合わせて、最終年次として、①これまでの研究によって得られたデータを総括すること、②得られたデータを総合的に分析・考察することにより、③研究課題に対して一定の解を導き出していくことをめざしている。 授業研究のグローバルな展開については、本研究分野の中核的学会であるWorld Association of Lesson Studies(WALS)が設立後、10年を経た今日、一定の成果と課題が現れ、新しい局面に来つつある。このことは、第2年次のシンガポールにおける調査からもその一端が明らかになった(たとえば、授業研究導入に関わる課題設定から、継続性や質的な深まりに研究の関心が推移していることなど)。 このことを踏まえ、英国における研究協力者であるP.Dudley氏、D.Pedder氏とこれまでの研究経過を共有し、英国における授業研究のローカル性とグローバル性を対象にし、深い分析と考察が出せるように、久野と千々布を中心に緊密な連携の体制を取る予定である。なお、今年度のWALSの国際学会の開催地は英国・Exeterであり、実行委員長B. Norich氏とも連絡を取り合いながら、調査実施にあたり適切な連携を持つことができている。
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Causes of Carryover |
研究協力者のうち1名が職場を異動したことに伴い、本人自身の研究環境の構築に時間が必要となった。これに伴い、本研究に関わる研究環境の整備と実施に必要な時間を確保することができず、研究協力のうち調査に関わる一部を実施する事ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度実施できなかった英国における調査について、次年度に実施することとする。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] Cultivation of Sustainable PLCs2015
Author(s)
Kuno, Hiroyuki
Organizer
Singapore Early Childhood Education Symposium (SECES) 2015: ” Enhancing Pedagogy, Literacy, Numeracy & Professional Learning Communities”
Place of Presentation
Microsoft Auditorium, Singapore
Year and Date
2015-06-02 – 2015-06-03
Int'l Joint Research / Invited
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