2014 Fiscal Year Research-status Report
音楽教育による市民の形成と社会的結合の創出―日仏比較を通して―
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26381043
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Research Institution | Kagawa Nutrition University |
Principal Investigator |
水崎 富美 女子栄養大学, 栄養学部, 准教授 (40510136)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育学 / カリキュラム / 文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、フランス調査および札幌調査を行い、文化の民主化の実際状況を面談調査、資料調査にてすすめた。<フランスにおける音楽教育を通しての文化の民主化の実際状況の調査>:フランスにおいては、パリ市郊外の貧困地区のコンセルヴァトワールを対象に、カリキュラム、教育方法、マニフェスタシオンの状況を実地調査し、さらに、学校長、教師、近隣地区のコンセルヴァトワールの教師、受講生から民主化の方法に関する細かな状況を面談調査にて把握できた。また、父母についても、コンセルヴァトワールおよび市との関係について面談調査をおこない、貧困地区の民主化の工夫と、貧困地区が抱える課題が浮かびあがってきた。<日本における音楽教育を通しての文化の民主化の実際状況の調査>:日本に関しては、札幌市のHBCジュニアオーケストラの活動について、すでに収集してある資料をもとに活動内容、民主化の方法を明らかにし、論文を作成した。そしてさらに、50周年に向けての活動を軸に、HBC本社のオーケストラ活動に関する具体的な組織に関する内容、50年間の資料について、札幌市内図書館およびHBC本社での収集をおこない、これまで卒団した子どもたち、HBCを支える人々に関する現地調査を行った。以上を通して、文化の民主化の地方都市における活動の実際と課題を明らかにする資料が入手できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)大学がこの研究に関する十分な時間を保障し、特に、研究を円滑に進めるために、大学事務局が研究環境を保持する様々なバックアップを行い、また、研究費の正当な執行に関するアドバイスを常に行い、安心して研究に集中することができたため。 2)HBCジュニアオーケストラを実施しているHBC本社の方々のご協力を得て、50年間の資料収集がすすみ、指導方向など団長、事務長の方々のご協力で貴重なお話しを伺え、資料をいただけたため。 3)フランスの現地調査受け入れが、発表会が開催される6月の時期になり、学校長、教師、地域の人々、父母、子どもたちと直接会い、現状を理解するための面談等を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
日本については、昨年12月に1本目の論文が作成できた。それによって、フランスとの比較の視点を得ることが可能となり、フランス調査資料をもとに調査報告書を作成する予定である。 また、HBCについては、地域との交流に関する調査の必要性が生じてきており、今後さらに、札幌市、区とHBCの関係を調査し、地域における市民形成と社会的結合の創出に向けて、具体的な手法と課題を明確にし、HBCについても調査報告書を作成する予定である。 これをもとに、論文作成、夏の横浜国際ワークショップにおけるイタリアからの比較教育学の研究者らとの議論をおこない、市民に公開の形で音楽教育における文化の民主化、政策、実施、評価の課題を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
為替レートの関係で誤差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費の購入にする。
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Research Products
(2 results)