2014 Fiscal Year Research-status Report
戦後教育における学校儀式と国旗・国歌に関する基礎的研究
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26381045
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小野 雅章 日本大学, 文理学部, 教授 (70224277)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 戦後教育 / 学校儀式 / 国旗 / 国歌 / 象徴天皇制 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、研究開始年度にあるため、先ず、所属機関である日本大学文理学部所蔵の申請課題に関する基本文献・史料をリストアップし、「仮目録」を作成した。その後、CiNiiなどを利用し、戦後学校儀式と国旗・国歌に関する関連論文分の悉皆調査を行い、研究の到達点と残された課題について検討した。結論としては、当該分野については、被占領期に関する研究論文は若干あるもの、日本の講和独立後における学校儀式と国旗・国歌に関する研究は、ほとんど行われておらず、先行研究が皆無に近いことが明らかになった。そのため、戦後教育における学校儀式と国旗・国歌に関しては、1958年から1977年迄の学習指導要領(小学校)では、国民の祝日における儀式に国旗掲揚と国歌斉唱を奨励していたものが、1989年の学習指導要領では、国民の祝日における学校儀式という文言がなくなり、それに代わり入学式・卒業式が対象となり、義務化されたことの要因さえも明らかになっていないことが判明した。 その後、国立国会図書館憲政資料室所蔵の「有光次郎文書」などの個人文書、国立公文書館において、戦後文部省関係資料、そして、国立教育政策研究所附属図書館において、「厚沢留次郎文書」「太田周三文書」「日高ノート」、さらには「戦後教育資料」などに治められている、関連史料の調査・収集を行った。さらに、古書購入により、被占領期からおよそ1960年代迄をも含む、学校儀式や国旗・国歌問題に関する文献を収集した。さらに、戦後早い時期から県主導で祝日学校儀式に国旗掲揚と国歌斉唱を実施した愛知県、戦後も一貫して戦前の四大節学校儀式の準じた儀式を行い続けていた繁藤小学校のある高知県、その他、これらに準じた動きがみられた秋田県、宮城県などに赴き、実態調査を行った。 これら収集した史料は、整理・分析を行うとともに、データベース化して、常時公開できるような準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が、単著を出版する準備に追われていたなどの理由により、一部実態調査を行うべき地方・地域の史料調査・収集ができなかったために、「おおむね順調に進展している」とした。しかし、これら地域についても、国立国会図書館やインターネットなどを通して、新聞記事を丁寧に読み込むなどの作業を継続的に行ったため、研究の進捗状況としては、ほぼ予定通りに進行しているものと判断してもよいと思われる。達成できなかった史料の調査・収集は平成27年に実施することにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降も、あらかじめ提出した研究実施計画に基づき、研究を進めたいと考えている。すなわち、研究の力点を先行研究の批判的検討による研究到達点の認識から基本文献・史料の調査・収集、およびその分析に移すことにする。特に平成27年度は、基本史料の調査・収集に勢力を注ぎ、本研究プロジェクトで予定する史料調査・収集の7割程度を済ませる予定でいる。 また、調査・収集した史料については、研究代表者・研究協力者で組織する研究会において、分析の質を深化させ、研究成果をより確実なものにするよう鋭意努力したい。また、調査・収集した史料はこれまでと同様に「仮目録」に随時加え、研究終了時に完成させる「史料目録」の準備を進めることにする。 さらに、調査・収集した史料の分析の進度により判断することになるが、分析が終わった史料のうち、特に重要と判断したものを選択し、研究代表者により、本研究プロジェクトの中間報告という意味合いで、教育史学会などの全国学会で口頭発表するとともに、その報告内容を論文化して、『日本の教育史学』(教育史学会)、『教育学研究』(日本教育学会)、『日本教育史研究』(日本教育史研究会)などの全国学会誌に投稿し、その成果を世に問うことにしたい。
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Causes of Carryover |
史料購入費が当初の計画より若干安価に購入できたことと、史料調査・収集が予定回数に満たなかったためである。差額25,759円であるが、次年度において、史料の購入費あるいは、出張旅費に加えて使用することにしたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
史料購入費、あるいは出張旅費ととして使用する予定にしている。
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Research Products
(3 results)