2016 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative, social, historical study on children's play environments in the public school and city planning in the era of the New Education Movement
Project/Area Number |
26381053
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
宮本 健市郎 関西学院大学, 教育学部, 教授 (50229887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 隆信 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (30294268)
山崎 洋子 福山平成大学, 福祉健康学部, 教授 (40311823)
山名 淳 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (80240050)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 新教育 / 遊び場 / 公共性 / アメリカ教育史 / イギリス教育史 / ドイツ教育史 / 進歩主義教育 / 遊び環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本共同研究は、新教育運動期のアメリカ、イギリス、ドイツに焦点をあてて、大都市およびその周辺における「遊び環境」の実態、遊びの教育的意義、および遊び環境がもった機能、これらを解明することが課題であった。新教育の時期に、遊びの教育的意義が認められ、大都市内もしくはその周囲に子どもの遊び場が出現したことは、これら諸国に共通していた。また、子どもの「遊び環境」としては、学校よりも公園のほうが一般的であったことも確認できた。学校は子どもの遊び環境としてふさわしいものでなかった。 しかし、新教育の時期に学校の環境が、遊びの要素を含みこみ、大きく変化したことは事実であった。カリキュラムや学校建築の変化、公園と学校とのつながりなどに、その傾向をみることができる。学校教育が遊びの要素を入れたとき、教育の理念がどのように転換したかは、さらに検討すべき課題として残った。 本研究で十分に検討できなかったテーマが、「遊び環境の公共性」である。都市計画のなかで、公共空間である公園に遊び場をつくること、さらに、公園の遊び場に教育の機能をもたせようとする動きがあったことは、いくつかの事例から確かめることができた。新教育の理念は、たしかに社会に浸透していたのである。だが、そのことは同時に、公教育の範囲を学校に限ることなく、無制限に拡大させることでもあり、その意義と危険性をあらためて検討する必要があることを意味している。アメリカについていえば、第一次世界大戦をはさんで、遊び場運動の性格が大きく転換した歴史を振り返ると、子どもの身近な遊び場が、アメリカへの忠誠心を育てるための教育の場になった。学校教育のカリキュラムとは違って、遊び場の教育機能を明確に分析することは難しい。公教育の一環として、「遊び場」をみるならば、国家や社会とのつながりを含めたものでなければならないであろう。今後深めていくべき課題である。
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Research Products
(7 results)