2015 Fiscal Year Research-status Report
スイスにおける幼児教育義務化の論理と制度に関する基礎的研究
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26381062
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 穂高 筑波大学, 人間系, 教授 (50238531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 麻里 白鴎大学, 教育学部, 講師 (20389696)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 幼児教育義務化 / スイス / 教育の機会均等 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はスイス各州での改革動向及びその論理に関する研究を行った。 まず、フランス語圏では、フリブール州を事例として取り上げ、2年制の幼児学校への就学を義務化するに至った経緯と論理を明らかにした。 そのうち、2年制の幼児学校の義務化の論理として、「すべての児童」への教育の機会均等の理念とともに、とりわけ恵まれない環境におかれている児童への積極的な教育の提供、その際に個別の必要に応じた多様な教育や特に言語教育の必要性をあげることができる。 一方、ドイツ語圏については、平成27年8月24日~9月11日に現地調査を行った。対象州はチューリヒ、アールガウ、ルツェルン、ニトヴァルデン、アッペンツェル・インナーローデンの5州。アッペンツェル・インナーローデン州ではHarmoSに関する州の教育省担当者にインタヴュー調査を実施した。 現在、スイスの教育改革の主軸となっているHarmoSの進行状況は、州の態度表明を見る限り、州間で大きく異なっている。しかしHarmoSに対し不参加、あるいは保留の意思表示をしている州であっても、多くの部分でHarmoSに沿った独自の教育改革が実施されていた。とりわけ改革が難航している言語教育に関するカリキュラム改革には、各州の職業構造や後期中等教育において職業訓練を選択する生徒の割合等が影響していることが明らかとなった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はスイスの各州の改革動向を明らかにすることを課題としており、上述の通り、フランス語圏では、もっとも幼児教育の義務化の実現が困難と思われた州をとりあげ、その実現に至る経緯とその際の教育的論理を明らかにするとともに、ドイツ語圏についても5州の調査を実施し、各州の教育改革の実態を明らかにすることができた。以上の理由から概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、今年度が最終年度であるため、これまでの研究成果を踏まえ、全国的な改革動向と、特徴的な週の改革動向を整理し、幼児教育義務化の論理と、その論理に反対する根拠等を明らかにする。
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Causes of Carryover |
スイスの教育に関する外国の文献を購入予定であったが、年度内の納入期限を過ぎてしまったため、研究代表者と研究分担者のそれぞれで9万円程度の残金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者と研究分担者のそれぞれで9万円程度の次年度使用額であり、上記の理由によるため、今年度の図書購入費に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)