2014 Fiscal Year Research-status Report
「感情リテラシー」を育成する保育者の専門性の探究と研修プログラムの開発
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26381064
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
砂上 史子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (60333704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
實川 慎子 昭和学院短期大学, 人間生活学科, 講師 (80619776)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 保育・幼児教育 / 感情リテラシー / 感情労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
保育制度の大きな転換期にある我が国の保育・幼児教育において、高度な資質と専門性を有する保育者(幼稚園教諭・保育士)の養成と研修は喫緊の重要課題である。本研究は、保育者の専門性のなかでも、感情に関する実践的知識・能力に焦点を当てる。具体的には、近年対人援助職の専門性として重視されている「感情リテラシー」に着目し、保育実践の特質を考慮した「保育者に求められる感情リテラシー」の探究と。現職者研修における感情リテラシーを育成するためのプログラムの開発を目的とする。 そのために、平成26年度は、以下を実施した。①先行研究の概観をふまえ、感情リテラシー(情動知能)の保育実践における重要性について整理し、考察した。②保育・幼児教育、子育て支援、心理臨床等の領域における、子どもと養育者の感情にかかわる支援について議論、検討を行った。③子育て支援における感情労働の特徴を明らかにするために、子育て支援施設の保育者6名に対して、支援中の困難に伴うインタビュー調査を実施した。 研究成果としては、『キリスト教保育』誌上にて、保育・幼児教育における感情リテラシーの重要性に関する論考を発表した。また、『保育ナビ』誌上にて、特集「今、保育における感情リテラシーを考える/職員が“辞めない”職場、“育つ”職場」を監修し、感情労働に関する鼎談、感情及び感情リテラシーに関する概説、論考の執筆を行った。さらに、日本発達心理学会第26回大会にて、自主シンポジウム「子どもと養育者の感情にかかわる支援」を企画し、司会・話題提供を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマに関する先行研究の概観、考究に時間を割いた関係上、幼稚園教諭・保育士への調査ができなかったが、おおむね順調に進んでいる。 本研究の成果として発表した雑誌の論考、特集記事を読んだ保育・幼児教育関係者から、研修講師の依頼があるなど、本研究の今年度の成果は保育・幼児教育の実践現場に強い関心をもって受け止められている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策は以下の通りである。 (1)平成26年度に収集した子育て支援施設の保育者に対する調査結果の分析・考察を行い、学会等で発表する。 (2)保育・幼児教育の実践における、子どもの感情にかかわる保育者の実践知を感情リテラシーの関連から考察するための調査を実施する。 (3)子育て支援者、保育者に対する調査結果をふまえて、感情リテラシーを育成するための保育者研修プログラムを開発する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた幼稚園教諭・保育士に対する調査の実施とそのデータの分析が次年度に実施することになっていたため、それに伴う旅費、物品費等の支出がなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成27年度に幼稚園教諭・保育士に実施する調査とその分析、研究成果発表において、旅費、物品費等として支出予定である。
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