2016 Fiscal Year Research-status Report
基礎自治体の教育政策選択の動態と政策参照に関する研究
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26381065
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
貞廣 斎子 千葉大学, 教育学部, 教授 (80361400)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学校規模 / 学校統合 / 教育委員会 / 校長のマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎自治体の教育政策選択、特に学校再配置計画について、その重要な情報となる教員のローカルノリッジに着目し、子どもの学び(学力、学習の姿、学校経営等)の観点から、学校規模による相違を、全国学習状況調査の結果と教員を対象としたアンケート調査から実証的に検証を行った。 その結果、あくまでも今回の分析データに限定しての知見であるが、学力に関わる分析からは、単学級など学級数が少ない小学校において、例えば学校統合や学校間連携をはじめとする何らかの方法で学級数を増やす、もしくはそれに準ずる方法をとることによって、学力テストの平均点が底上げされるたり、児童の学力のばらつきが縮小されたりする可能性が示唆された。ただし、アンケートを用いた質的調査からは、正負の効果が反転していることが示されており、統合と非統合、適正規模校と非適正規模学校を二項対立的に捉え、一方のみを評価することには慎重であってよいといえる。むしろ、反転する正負の効果を明確に捉えた上、他の諸要素を含めて総合的に判断する必要がある。その際に考慮するべき他の要素としては、例えば、物理的な統合可能性、施設の老朽化の程度、今後の学習指導要領の改訂に伴う学びのスタイルの変化等が想定され得る。 加えて、メリットとデメリットが具体的に検証されたことから、統合施策を選択する場合も、小規模校を残すことを選択する場合も、教育委員会には反転するメリットを最大化し、デメリットを最小化する支援策を講じる必要がある。例えば、統合においては、生徒指導上の課題が深刻化しないように、一方、小規模校を残す場合は、子どものコミュニケーションの多様性が損なわれたり、教員の負担が過重になったりしない様に、学校間連携の仕組みや人員配置も含めた具体的な支援の力を強める必要があろう。更に、校長のマネジメントの重要性も改めて示されているといえる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度追加的に行った研究課題の検証において、昨年度の検証結果よりも良好な枠組みが見出され、より分析結果を精緻化する可能性があるため。 更に、当初予定していた調査が、相手方の都合によって行えず、計画の見直しを行わざるを得なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
結果分析の精緻化を進め、調査については、調査対象とも相談の上、できる限り進める。
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Causes of Carryover |
本年度追加的に行った研究課題の検証において、昨年度の検証結果よりも良好な枠組みが見出され、より分析結果を精緻化する可能性があるため。 更に、当初予定していた調査が、相手方の都合によって行えず、計画の見直しを行わざるを得なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析の精緻化を行うと同時に、調査相手方と相談して、調査の実施を行う。
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Research Products
(6 results)